研究課題/領域番号 |
16K08895
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
木下 健司 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (70441219)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 薬物代謝酵素 / 一塩基遺伝子多型 / コピー数多型 / 個別化医療 |
研究実績の概要 |
平成28-29年度に開発した唾液サンプリングデバイス並びに薬物代謝酵素CYP2D6において日本人の1%以上のアリル頻度で観察される一塩基多型SNP(CYP2D6*1/*2/*10/*14)及びコピー数多型CNV(CYP2D6*5)の解析法を用いて、事前にインフォームドコンセントを行い、同意の得られた薬学生216名を対象に遺伝子解析を実施した。結果、遺伝子解析精度の確認及びCYP2D6*1/*2/*5/*10/*14のアリル頻度を算出をした。過去の学術論文等の報告と比較し、今回開発した遺伝子解析法は、経済性にも優れ、操作の簡便性、遺伝子解析の精度などの多くの局面で優れていると判断できた。 本遺伝子解析法は、アルコール体質遺伝子(ADH1B、ALDH2)の解析にも応用展開した。アルコール体質とがんの罹患とは密接に関連することをWHO(世界保健機関)は指摘している。しかしながら、乳がん罹患とアルコール体質との関連は未解明であることから、保険調剤薬局の薬剤師と連携した疫学的調査並びに健康サポート薬局のかかりつけ薬剤師のツールとしてアルコール体質検査を一般の市民にも体験して頂くシステムを構築中である。学生・市民・薬剤師を対象としたセミナー「アルコール体質と飲酒の功罪」を年間10回以上全国で開催した。 平成30年度の研究成果は薬学雑誌並びにBiol. Pharm. Bull.等の学術雑誌に随時発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は開発した一塩基多型SNP及びコピー数多型CNV解析法を用いて、事前にインフォームドコンセントを行い、薬学生216名を対象に対象遺伝子遺伝子解析を実施した結果、過去の学術論文等の研究報告と比較し、今回開発した遺伝子解析法は、経済性・操作の簡便性・遺伝子解析精度などの多くの局面で非常に優れていると判断できた。さらに、本遺伝子解析法は、アルコール体質遺伝子の解析にも応用展開して、未成年者飲酒事故防止、乳がん罹患とアルコール体質との関連を明らかにするために、薬剤師との連携を日本薬剤師会に提案した。 健常な薬学生の216名の薬物代謝酵素CYP2D6の遺伝子多型情報解析の結果は、日本薬学会138回年会(金沢 発表演題:「定量的リアルタイムPCRを用いたCYP2D6のコピー数多型解析法の確立」及び「ハイスループットSNPタイピング法の開発」)並びに第78回国際薬剤師・薬学連合国際会議(78th FIP World Congress of Pharmacy and Pharmaceutical Science 2018、グラスゴー(英国)発表演題:Development of high-throughput TaqMan PCR-based CYP2D6 SNP and CNVgenotyping without DNA purification)で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、日本薬剤師会の協力体制を基軸にして、保険薬局薬剤師を対象に飲酒習慣とアルコール体質に関する疫学調査を「女性の飲酒と健康」と題した講演・セミナー形式で全国展開を進める。さらには、兵庫医科大学付属病院内分泌・乳腺外科との共同研究として、アルコール体質と乳がん罹患並びに乳がん治療薬タモキシフェンの代謝酵素CYP2D6の遺伝子多型解析に関する対象症例研究を開始する。平成30年度の研究成果は下記の学術雑誌に随時発表を予定している。 1.新規な遺伝子検査プロトコール開発とアルコール代謝関連遺伝子多型への応用(薬学雑誌 印刷中) 2.Rapid and Cost-Effective Genotyping Protocol for Angiotensin-Converting Enzyme Insertion/Deletion (Ins/Del) Polymorphism from Saliva (Biol. Pharm. Bull. 印刷中) 3.Development of an Inexpensive and Rapid Operation Device for High-Throughput Real-Time Quantitative PCR-Based CYP2D6 CNV Genotyping(Biol. Pharm. Bull. 審査中) 4.Unique Genotyping Protocol of CYP2D6 Allele Frequency using Real Time Quantitative PCR from Japanese Healthy Women(Biol. Pharm. Bull. 投稿準備中)
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