現行の遺伝子検査法は、唾液などの試料中のDNAを抽出・精製操作に時間を要している。そこで、水溶紙を用いて唾液浸漬乾燥後、水溶紙の一定量をパンチングで採取し、それを蒸留水中で溶解・加熱処理後、その溶液を直接PCR溶液に混和しサンプルとし、直接リアルタイムPCR装置で分析する方法を確立し、自作サンプリングキットを作製した。この方法はDNA抽出・精製操作がない点で迅速、簡易、高精度、高再現性である。この方法は唾液を用いるため、低侵襲で、乾燥後の検体は室温保存が可能なうえ、遺伝子検査装置がある検査室へ通常郵便での郵送も可能である。そのコストは一遺伝子あたり約200円の試薬・消耗品代と安価で、多検体試料の調整から遺伝子解析に要する時間は約3時間という臨床研究に適した方法である。アルコール体質遺伝子検査を用いた未成年者飲酒事故防止活動を大学の新入生を対象に実施しており、今後も継続実施する。また、一般社会人を対象に健康飲酒セミナー「アルコール体質検査と飲酒の功罪」を年間数10回実施した。 乳がん治療薬タモキシフェンの代謝酵素遺伝子CYP2D6は*5の遺伝子欠損から重複という非常に複雑な遺伝子多型が観察され、薬物代謝の個人差に大きく関与している。口腔粘膜細胞数に個人差の少ない唾液採取法を確立し、TaqManプローブを用いたリアルタイムPCR法によるコピー数多型(CNV)を唾液から迅速・簡便・安価に遺伝子解析する方法を開発し、特許出願後、国際学会及び学術雑誌に報告した。更に、英国科学雑誌「Science Impact」に掲載された
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