研究課題/領域番号 |
16K08898
|
研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
白岩 健 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (20583090)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 健康関連QOL / 医療経済評価 / 医療技術評価 |
研究実績の概要 |
本年度は、小児用のQOL尺度であるEQ-5D-Yの日本語版作成を実施した。EQ-5D-YはEuroQOLの作成した選好にもとづくQOL質問票であり、3択5項目の回答に答えることによりQOL値(効用値)が算定できる(ただし日本語版のスコアリングアルゴリズムは未作成)。このEQ-5D-Yは8歳から15歳までを対象とするものであり、特に8歳から12歳までは成人用の尺度ではなくこちらを用いることが推奨されている。 EQ-5D-Yの日本語版については、EuroQOL本部において一度翻訳され、公表されたが、開発者に日本語のわかるネイティブスピーカーが作成に関与せず、順翻訳→cognitive briefing→逆翻訳の機械的手順で作成されていたことから、現実に(特に低年齢の小児への)使用に適するものではなかった。例えば、小学校低学年では習わない漢字が含まれていたり、言い回しが難しかったりするカ所が散見された。 そこで、本研究においてはEuroQOL本部の許可を得て、本部で作成された日本語版EQ-5D-Yの日本語訳を修正し、それが適切に理解されているか等を検討するcognitive briefingを実施した。実際には東京において学年と性別で層別して8歳から15歳までの12名の協力者を得て、質問票の一文ずつ理解度合いを聞き取っていった。小児の調査であるので、親に同席してもらい親からインタビュー実施の同意を得た。一人あたりのインタビュー時間は約1時間であった。インタビューは電子的方法で記録し、その内容をまとめた表を作成した。インタビュー結果に基づき、他の専門家の協力も得ながら質問票を修正し、新たな日本語版質問票のドラフトを完成させた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度計画していたEQ-5D-Yのcognitive briefingを完了することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度はcognitive briefingの結果を反映させた質問票を用いて、逆翻訳のプロセスを実施する予定である。この逆翻訳プロセスの評価を行ったあとに、最終的な日本語版を確定させるため、EuroQOL本部と協議を実施した後に、正式な日本語版として登録される予定である。 質問票が確定した後は、まずは日本語版のスコアリングアルゴリズムの作成について検討する。現在EuroQOL本部ではスコアリングアルゴリズムの作成手法について検討を続けているようであるが、作成手法が固まりし次第、我が国における実施可能性を等について検討を行う。 また、EQ-5D-Yを用いた小規模の調査を行うことで他の小児用尺度との関係性(例えばPedsQL)につても調査を行い、EQ-5D-Yの尺度としての特性を明らかにしたい。加えて、協力いただける学校等の教育機関においてEQ-5D-Yを用いて実施し、小児のQOLとそれに影響を与える社会経済的要因等にういても検討を実施することができればと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
EQ-5D-Y以外に計画していた、高齢者のQOLデータの解析等について、データの提供が間に合わず、次年度以降に実施するため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度以降に消耗品や委託費として使用する予定である。
|