自殺予防介入の普及と適応に関する研究ガイダンスを作成した。ガイダンスは、日本および世界で自殺予防の実践活動を行う、精神科医、臨床心理師、ソーシャルワーカー等に対してインタビューを行い、フィードバックを得た。 事例として、ゲートキーパー(GKT)研修について検討した。1つ目として、GKTの介入の有用性について、ランダム化比較試験(RCT)、前向き介入研究を対象に調査した。また、GKTの内容の相違についても調査した。文献データベースを用いた系統的レビューを行い、以前の関連する系統的レビューの文献も対象とした。結果、343報を抽出、該当する研究は10のRCT、6つの介入研究であった。介入研究では一定のエビデンスがあったが、RCTでの効果は不確で、知識や 自己効力感への効果でさえ不確かな結果もあった。RCTの質は不明もしくは低いものがほとんどであった。GKTはさまざま種類があり、開発した対象と異なる対象で行う場合は、同じことが実現できるか研究が必要であること、今後は研究のプログラムの標準化を行い、質の高いRCTが必要であることを明らかにした。 2つ目として、日本での国の自殺予防政策の発信とGKTの普及の関連について調査した。系統的レビューの方法を用いて、国や地方自治体の自殺予防の資料、Pubmed、医中誌の研究報告を調査した。結果、全ての自治体がGKTについて報告し、80%以上の地方自治体が専用のホームページを設定していた。しかし、自治体独自の取り組みやプログラムの評価の情報は限られていた。122の研究報告があり、2011年から14年に急増していた。ただ該当した研究報告では、妥当性のあるアウトカム指標を用いたものはほとんどなかった。日本の国の政策発信とゲートキーパーの普及は関連していることが明らかになった。しかし、ゲートキーパーの知見の統合や評価は課題であることも明らかになった。
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