研究課題/領域番号 |
16K08905
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
岡部 素典 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (60283066)
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研究分担者 |
吉田 淑子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (00171421)
野村 義宏 東京農工大学, 農学部, 教授 (10228372)
林 京子 中部大学, 大学院工学研究科, 客員教授 (60110623)
相古 千加 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10523889)
北島 勲 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (50214797)
玄 丞烋 京都工芸繊維大学, 繊維科学センター, 特任教授 (90283655)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ハイパードライヒト乾燥羊膜(HD羊膜) / 引張り試験 / 透過試験 / 安定性試験 / 臨床応用 |
研究実績の概要 |
ハイパードライヒト乾燥羊膜(HD羊膜)を眼科領域へ臨床応用し、臨床研究の最高峰である先進医療Bが2016年1月に認可された。本研究の目標である「臨床への応用」が1つ達成できたことになる。しかしながら、認可の条件の1つに「先進医療Bの継続中にOn Goingで物性についてのデータを得る」課題が示された。PMDAの対面助言で示される物性試験のうち①引っ張り強度(N/mm2、弾性率)、②厚さ、③透過試験、④無菌試験、⑤エンドトキシン試験を行った。また、⑥安定性を確認するため、製造直後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、24ヶ月後(一部)の試料について①~⑤を行った。 さらに、羊膜の採取部分を胎盤部とその周囲(辺縁部)に分け、部位における上記①~⑥の比較を行った。①引っ張り強度(N/mm2、弾性率)では胎盤部のものが12ヶ月、24ヶ月で有意に上昇した。いずれの指標も製造後から時間が経つにつれ強度が増加する傾向が見られた。②厚さ試験では、胎盤部のものが3ヶ月目から24ヶ月目まで有意に厚い事を示し、双方ともに製造後から時間とともに薄くなる傾向がみられた。③透過試験では、胎盤部と辺縁部に差が無かった。④無菌試験および⑤エンドトキシン試験では、製造時から製造後12ヶ月まで陽性反応は検出されなかった。 HD羊膜を眼科領域へ臨床利用し、先進医療Bを推進し、目標40症例のうち9症例の治療が終了している。本研究の目標である「臨床への応用」が、臨床研究の最高峰である先進医療Bのところまで実現できた。また、歯科口腔外科領域で口蓋裂の治療に利用することを目指し、口蓋裂患者の羊膜について基礎研究を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HD羊膜を眼科領域へ臨床利用し、先進医療Bが2016年1月に認可された。本研究の目標である「臨床への応用」が1つできたことになる。しかしながら、それに伴いHD羊膜の物性を急遽調べねばならなくなった(新たな問題解決をせねばならなくなった)。また、臨床研究で最高峰の先進医療Bを進めるために、現時点で安全性の担保できたヒト羊膜を利用することが必須となり、急遽ヒト羊膜の採取システムを病院内に整備にも労力を割かれた(臨床応用から実用化の際に解決が必要な問題が出てきた)。 病院内に再生医療センターをはじめ羊膜バンクも設立されたたが、体制の整備に時間と労力がさかれてしまった。 これまで先進医療を担当する部門が無いために、先進医療を行っている講座が独自に勉強しながら進めないといけなかった。 今年度より臨床研究法が施行されるに伴い、臨床研究管理センター等の人的な拡充が計画されており、事務的な雑用が減ることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
臨床応用(臨床研究)で最高峰の先進医療Bを進めると同時に、物性(新たに出てきた基礎研究)および計画していた基礎研究を進める。 歯科口腔外科領域で口蓋裂の治療に利用することを推進し、口蓋裂患者の羊膜についても基礎研究を推し進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ハイパードライヒト乾燥羊膜(HD羊膜)の眼科領域への臨床応用(研究)が臨床研究の最高峰である先進医療Bとして認められ、その整備およびOn goingでHD羊膜の物性を調べなくてはならなくなり、その立ち上げに時間と労力を費やした。また、他施設共同研究で参画する協力校の倫理審査書類・先進医療届の作成指導のため時間と労力を費やしたため、抗体、キット等の購入を次年度に持ち越した。
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