研究課題
①乳癌において適応外医薬品であるシスプラチンを用いたTNBCの術前化学療法は、京都大学医学部医の倫理員会承認を得て施行中であり、既に40症例以上が登録されている。「乳癌微小環境形成に関わる分子生物学的機序の生体試料を街いた探索研究」として薬物療法前後の血液や組織検体から種々のバイオマーカー探索も行っている。特にプラチナ製剤によって誘導されうる患者体内(血液および組織中)の様々な免疫学的バイオマーカー(患者由来の単核球を用いたNK活性やサイトカインなど)を継時的にフォローして、薬剤のPharmacokinetics(特に蛋白結合した長期残留プラチナ)との関連を探索している。今後、予後や有害事象との関連も検討予定である。②乳癌において適応外医薬品であるカルボプラチンを用いた多施設共同医師主導治験(Japan Breast Cancer Research Group: JBCRGの20数施設、症例数250、登録期間2年)は予定から遅れはしたが平成29年3月より症例登録が開始された。症例集積が遅れており登録期間も1年半に延長されている。③免疫チェックポイント阻害剤(国内適応外)と新規分子標的薬(国内適応外)を併用する多施設共同医師主導治験(JBCRGの10施設程度、症例数40、登録期間2年)は、企業との契約見直しとなっており現在交渉中である。平成31年開始を目標としている。④上述のような複数の臨床試験・治験において、治療効果予測因子として、特に治療の有効性が期待しにくい患者を抽出する陰性的中率が高いバイオマーカーを腫瘍側因子(PD-L1関連因子など)とホスト側因子の双方から探索する。ホスト側の因子としては、HLAタイプなど血液検査で簡便に判定できる自己免疫疾患と関連深いものやツベルクリン反応など評価手順が確立したT細胞免疫指標など将来の臨床実用化を考慮して検討する。
3: やや遅れている
①乳癌において適応外医薬品であるシスプラチンを用いたTNBCの術前化学療法は、後述のCBDCAを用いた医師主導治験と対象患者が一部重なるために登録症例数はあまり増えていない。②TNBCにおいて適応外医薬品であるカルボプラチンを用いた医師主導治験は、症例登録開始が最初の予定であった平成28年夏から大幅に遅れ平成29年3月になっただけではなく、症例登録が進まず登録期間も1年半へと延長している。③免疫チェックポイント阻害剤(国内適応外)と新規分子標的薬(国内適応外)を併用する多施設共同医師主導治験は、コンパニオン診断薬の承認の遅れ、また企業との契約変更(予算増額申請)を現在交渉中である。平成31年開始を目標としている。
①乳癌において適応外医薬品であるシスプラチンを用いたTNBCの術前化学療法における登録と検体収集を、できるだけ効率的にかつ漏れが少なくなるようにCRCとの連携を密にする。②TNBCにおいて適応外医薬品であるカルボプラチンを用いた医師主導治験は、これ以上の登録期間延長を避ける。③免疫チェックポイント阻害剤(国内適応外)と新規分子標的薬(国内適応外)を併用する多施設共同医師主導治験は、企業との交渉がまとまり次第開始できるよう準備を行う。
臨床検体提供先である京都大学から直接、外部検査機関に発注・支払いできるように、次年度の研究費は一括して京都大学に分担とした。研究統括などに必要な予算は前年度からの予算を使用することとした。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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