本研究では、まず、細胞を用いた実験で炎症性サイトカインであるTNF-αやIL-1βが共存する時にシスプラチンの膜透過性が亢進することを明らかにした。このことから、シスプラチンの血中濃度は、炎症性サイトカインの影響を受ける可能性が示唆された。次に、ヒト血清を用いて、プラチナ製剤を含むがん化学療法施行中の炎症性サイトカインの変動に関して検討した。炎症性サイトカインは、がん化学療法のレジメンに関わらず、投与後2週間程度でピークが認められた。これらのことから、がん化学療法により炎症性サイトカインが変動することが明らかとなり、これによりシスプラチンの血管透過性が亢進する可能性が示唆された。
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