研究課題
我々はHigh mobility group box1(HMGB1)はマクロファージ、単球、好中球、内皮細胞、上皮細胞、樹状細胞、平滑筋細胞等様々な細胞で発現して、炎症性メディエーターであることを着目し、創薬研究してきた。本研究では、特異的抗HMGB1単クローン抗体を作製し、出血性脳卒中の治療効果及びメカニズムの解明を目的とした。前年度に引き続いて、脳実質内及び硬膜下出血における遅発性血管攣縮とHMGB1の関連性を検討した。血管攣縮を起こしている血管壁の平滑筋細胞から HMGB1 が細胞外へ放出されることが免疫染色で確認され、その HMGB1 の働きで血管の収縮を誘導する受容体の発現量が上昇することを示唆された。したがって、発症直後、抗 HMGB1 抗体を投与することによってほぼ100%の血管攣縮が抑制された。抗体の有効治療時間帯の検討で、発症後3時間まで治療が有効であることがわかった。さらに、蛍光物質フルオレセイン(FITC)で標識したデキストランを静脈注射し、共焦点レーザー顕微鏡で脳実質の血管攣縮像を観察した。脳内出血後24時間、出血側と健側の大脳皮質における毛細血管網の画像を比較した。健側に満たした毛細血管網の蛍光染色像に対し、出血側は点状の蛍光染色像しか見えなかった。この結果より、血管に通過可能のFITCで標識したデキストランは、血管攣縮になると通過できなくなって、点状の蛍光染色像が見えた。脳内出血障害の急性期に血管攣縮が亢進していることは明らかになった。抗 HMGB1 抗体の投与は、血管攣縮と脳内全体で生じる炎症応答を抑えることが分かった。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件)
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