研究課題
本研究の目的は、悪性高熱症(MH)患者の症例報告における1型リアノジン受容体(RyR1、Ca2+放出チャンネル)の遺伝子変異体を作製し効率的に発現する細胞株の樹立法を確立する。さらにCa2+イメージング-システムと組み合わせることによりMH型RyR1遺伝子変異による薬物感受性の変化の有無を解析して、RyR1遺伝子変異部位とMH病態の関連を明らかにしてMH遺伝子診断の根拠を提供すると共にMHモデル細胞とすることを目的とした。Flp-In細胞株(HEK293およびCHO)を用いて、これまでの実験で樹立した野生型RyR1発現細胞の細胞内Ca2+動態をコントロールとしてMH型RyR1変異体の場合と比較した結果、数種のMH型RyR1変異体発現細胞には薬物に対する感受性の変化が確認されて、MHモデル細胞になり得ることが示された。しかし、解析の際にHEK293は剥がれ易く、接着の良いCHOが推奨されるが、CHOでの変異体の発現を誘導する際に必要なTet-Expressが一昨年より販売中止となったので、この代替えとなる膜透過性転写因子の作製をタカラバイオの担当者(林延江氏)と共に検討したが、発売元のクローンテック社からは明確な回答は得られなかったので、断念して、他の方法(Tet-One システム等)も検討する事とした。また、MH型変異体を設計する際に、利用していた「アミノ酸配列はそのままで、その制限酵素切断部位を挿入出来る可能性のある位置」を教えてくれるネット上の”DNA sequence Design Supporter”が昨年初めより閉鎖されてしまい、変異体の塩基配列の設計が困難な状態陥っていたが、当サイトを運営した東京理科大学(山登一郎氏(名誉教授)と久保田幸雄氏(情報管理課))のご配慮により再利用が可能となり、昨年11月より変異体の設計を再開することが可能となった。
本研究成果の一部を、第18回国際薬理学会(会期2018年7月1日-6日、京都国際会議場)において発表する予定(同年7月4日のセッション)であったが、発表演者の小山田英人(研究分担者)が、同年6月30日に右大脳動脈の脳塞栓による左半身麻痺で緊急入院(手術およびリハビリ)したために演題の発表を急遽に取り止めとした。
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Showa Univ J Med Sci
巻: 31 ページ: 41-50
Mol Pharmacol.
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https://doi.org/101124/mol117.111468