パゾパニブを投与する悪性軟部腫瘍患者を対象として,毒性に関与する因子を検討するための前向きな探索的臨床研究を実施し、22例の患者の同意が得られた。研究への症例登録に引き続きパゾパニブによる治療を開始し,薬物動態解析用ならびに遺伝子多型解析用の血液検体を採取した。パゾパニブの血漿中濃度はHPLCまたはLC/MSMSにて測定した。 パゾパニブの薬物有害反応と薬物動態の明らかな相関は見出されていない。 また、経口投与されたパゾパニブの初回通過に影響する因子として考えられるABCG2の遺伝子多型の判定は、全血から抽出したゲノムDNAを用いて,ダイレクトシークエンス法,制限酵素切断長多型法,TaqMan法またはライトサイクラーを用いたFRET法などにより行った。ABCG2遺伝子多型とパゾパニブによる薬物有害反応の頻度および重症度との関連性については明らかな関係は見いだせていない。 パゾパニブの肝取り込みに関わるトランスポーターはOATP1B1とされていたが、本研究に関連した細胞株およびマウスでの検討においてOCT1が主たるトランスポーターであることが見いだされ、論文を発表した。
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