研究課題
自閉症モデルTsc2(+/-)マウスの脳における細胞レベルの変化を網羅的に明らかにするため、各種脳細胞の変化について解析した。まず、マイクロアレイのデータを用いて、グリア細胞、神経細胞におけるマーカー遺伝子の発現量を網羅的に調べた。また、各脳細胞のマーカー分子に対する抗体を用いて、免疫染色による各細胞分布の全脳解析を行った。Tsc2(+/-)マウスにおいて、microglia細胞のマーカーであるCD68、C1qaおよびCx3cr1遺伝子、oligodendrocyteのマーカー遺伝子であるMbp遺伝子、dopaminergic細胞マーカー遺伝子であるSlc6a3遺伝子、GABAergic細胞マーカー遺伝子であるSlc6a1遺伝子、glutamatergic細胞マーカー遺伝子であるGrin1およびSlc17a6遺伝子の発現量が有意に変化していた。複数のマーカー遺伝子の発現量が有意に異なっていたmicroglia細胞およびglutamatergic細胞については、Tsc2(+/-)マウスにおいて細胞数や分布に変化があることが予想された。また、Slc6a3遺伝子がコードするDATおよびSlc6a1遺伝子がコードするGAT1は、それぞれドーパミン神経伝達およびGABA神経伝達において重要な役割を担う分子であることから、Tsc2(+/-)マウスの脳ではドーパミン神経伝達およびGABA神経伝達も変化していることが示唆された。免疫染色による各脳細胞の分布変化については、現在解析を進めている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
精神科臨床Legato
巻: 6 ページ: 56-57