研究課題
本研究では、これまでよくわかっていなかったシャルコー・ライデン結晶がどのように生成されるのかを明らかにし、これをもとに臨床的な意義を検討していく必要がある。本年度は昨年度に引き続いて末梢血から高純度分離した好酸球を用いて、シャルコーライデン結晶の試験管内モデルを検討した。その結果、好酸球の活性化によりETosisが起こること、ETosisによって細胞内のgalectin-10の局在が大きく変化すること、それに伴ってgalectin-10が結晶化してシャルコー・ライデン結晶が生成されることをはじめて発見し、その様子をタイムラプス顕微鏡で示すことに成功した。細胞を用いた検討では、シャルコー・ライデン結晶は透過型電子顕微鏡で電子密度の高い結晶構造として観察でき、galectin-10の免疫染色でも鮮明に検出できることが確認できた。この方法を応用して、実際の炎症組織におけるETosisとシャルコー・ライデン結晶の関連について検討を行い、症例数を増やして検討を継続している。病理医とも連携し、通常のヘマトキシリンエオシンによる組織染色を用いてシャルコー・ライデン結晶を検出できるかどうかも合わせて検討している。また、培養上清、細胞のライセート、血清を用いて、galectin-10の濃度を検討するために、ELISAキットで測定するための条件設定、基礎検討を行った。研究結果については論文化を進め、投稿に向けて準備中である。このほか、本年度は活性化した好酸球から産生されるmicrovesiclesの特徴を明らかにし、論文化を行った。
2: おおむね順調に進展している
おおむね仮説を裏付ける研究成果が得られている。
臨床サンプルの解析、臨床データとシャルコー・ライデン結晶の存在との関連について、とりわけ免疫染色法の最適化により明確な評価法を得るための基礎検討を継続する。また、これまでに得られたデータをもとに論文化を目指す。
当初予定していたELISAを用いた実験がサンプル収集を待っていたため持ち越しとなっているためであり、次年度に使用予定である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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