研究課題
これまでに行った研究をまとめて論文を投稿し、査読に対する追加実験を行いBlood誌(血液分野のトップジャーナル)に受理された(Charcot-Leyden crystal formation is closely associated with eosinophil extracellular trap cell death.Blood. 2018;132(20):2183-2187. )。この研究は、長年にわたって医師や病理学者の間で謎だったシャルコー・ライデン結晶の出現機構を、分子細胞学的な観点から初めて明らかにしたものである。端的には、好酸球が特殊な細胞死:ETosisを起こす過程でgalectin-10を制御しなくなり、最終的に細胞が崩壊することが結晶化の原因と考えられた。組織の電子顕微鏡では、結晶の出現とETosisが一致していることを種々の疾患で見いだした。また、好酸球性副鼻腔炎の組織には、重症度が上がるほどシャルコー・ライデン結晶が出現していることを示した。ヒト好酸球を用いたin vitroのタイムラプス顕微鏡観察では、結晶が出現する瞬間をとらえたことは、これまで誰も見たことのない所見として特に重要である。そのほか、galectin-10が細胞外小胞として放出されることも初めて見いだした。本論文はBlood誌においてEditorialだけでなく、表紙として取り上げられるなど高い評価を受けた。また、研究結果は一般向けにプレスリリースを行ったほか、教室のホームページにも掲載し、webジャーナルへの寄稿を行うなど、わかりやすく複数の媒体を介して発表した。
2: おおむね順調に進展している
昨年度の予定をおよそクリアし、シャルコーライデン結晶の成因について論文が発表できた。ETosisの重要性についてカナダの研究グループとともに総説を発表したほか、好酸球の機能について論文化を行った。
galectin-10の血清濃度を検討するために健常者の血清を昭和大学との共同研究として収集している。この書類上の手続きと協力者を集めるために時間を要したため、研究期間を延長している。
新しく加入した共同研究者との追加実験を完遂するため一部の研究費を来年度にも使用するものである。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件)
Clinical & Experimental Allergy
巻: - ページ: -
doi: 10.1111/cea.13382
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巻: 10 ページ: -
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