研究課題
生化学検査自動分析装置による反応波形チェック法を用いて、38日間22303検体・40項目の反応過程を分析した。まず第1試薬試料混合後および第2試薬添加後の各測光ポイントの吸光度の分散を求めて閾値を設定した。さらに新規検出手法として、第1試薬添加1.7分後と5分後の吸光度差を算出して閾値を設定した。いずれも閾値以上の変動があった場合を異常と判定した結果、異常反応事例は69件であり、うち40件は新しい方法で初めて検出された。これらの中にはM蛋白の存在や、検体の希釈直線性が成立しない検体が認められた。したがって反応異常の検出機能は、異常蛋白の発見および誤報告の防止に効果的であった。次に、HbA1c測定における、異常ヘモグロビン(異常Hb)症例の効率的検出の為に、1180症において、HbA1c値と、グルコース値(Glu)およびグリコアルブミン値(GA)との相関性を調査した。95%信頼区間である回帰直線±2×Sy・x以内を許容域としたときにGluとの比較で63症例(5.3%)、GAとの比較で71例(6.0%)が許容下限を下回った。これまで検出した異常Hb症例26症例の各測定値を同グラフにプロットした結果、それぞれ12例(46.2%)および10例(38.5%) が許容域から外れたことから、異常Hb症例の半数近くは今回の方法で検出できる可能性が示唆された。一方これまで検出された40症例の異常ヘモグロビン症例のアフィニティー法によるHbA1c予測値と、免疫学的方法によるHbA1c値および酵素法によるHbA1c値を比較した結果、0.90、0.96と高い相関係数を示した。以上より、異常ヘモグロビン症例ではこれらのいずれかの活用が有用と考えられた。
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