研究課題
cDNAマイクロアレイを用いた探索:データより肺がんで発現が高く、正常での発現がほとんどないタンパクURST1タンパクについて、引き続き検討を進めた。URST1は、肺がん、口腔がん、悪性胸膜中皮腫、乳がんのいずれにおいても、正常細胞、組織と比較して、がんで高頻度に発現上昇を認め、siRNAにてURST1を抑制するとがん細胞の増殖を抑制した。がん患者の組織検体を用いて、免疫組織染色を行い、肺がん、口腔がん、乳がんのいずれにおいても重要な予後マーカーであることを確認した。また、URST1に対する阻害剤を添加することで、がん細胞の増殖が有意に抑制され、治療薬として、臨床応用に向け有望である。更に機能解析でURST1は、Chromosome passenger proteinとの相互作用することで、M期の細胞の分裂に深く関与していることが判明した。引き続き、機能解析、臨床応用に向けて研究を進めている。その他、KIF11についても同様に、口腔がんで高発現し、がんの増殖への関与すること、阻害剤の添加によりがん細胞の増殖抑制効果を確認できたため、臨床応用に向けて進めている。一方、LASEP3については、肺がんで高発現し、がんの増殖に関与する分泌タンパクであり、肺がん患者の組織検体を用いて、免疫組織染色を行い、重要な予後マーカーであることを確認した。LASEP3は、血清マーカーとしても有用で非小細胞肺がんで61.8%、小細胞肺がんで62.6%の感度で、特異度は94.5%であった。高感度マーカー:肺がん組織、正常肺からmRNAを回収し、血清Exosome中のmRNAや血中DNAの肺がん特異的遺伝子配列をDigital PCRなどで検出を進めている。肺がん患者10-20症例について、がん組織とエクソソーム中のURST1 mRNA濃度を同時に測定し、それぞれ相関していることを確認できた。
2: おおむね順調に進展している
cDNAマイクロアレイを用いた探索:データより肺がんで発現が高く、正常での発現がほとんどないタンパクURST1タンパクについて、肺がん、口腔がん、悪性胸膜中皮腫、乳がんにおいて、正常細胞、組織と比較して、がんで高頻度に発現上昇を認め、siRNAにてURST1を抑制するとがん細胞の増殖を抑制した。免疫組織染色では、重要な予後マーカーであることが確認された。また、URST1に対する阻害剤により、がん細胞の増殖が優位に抑制され、治療薬として、臨床応用に向けて期待され、KIF11についても同様に、臨床応用に向けて進めており、一定の成果を得つつある。一方、LASEP3については、がんの増殖に関与する分泌タンパクであり、免疫組織染色を行い、重要な予後マーカーであり、血清診断マーカーとしても有用で、肺がんの60-70%を検出できた。機能解析に関してもAutocrine/paracrine的にがんの増殖に関与することが確認できており、更なる解析を進めていきたい。高感度マーカー:肺がん患者10-20症例について、がん組織とエクソソーム中のURST1 mRNA濃度を同時に測定し、相関していることが確認できた。血清、血漿Exosome中のmRNAの抽出、Digital PCRで検出系が確立され、一部の候補について、その有用性が確認できたため一定の成果は得られた。
cDNA microarrayから腫瘍マーカー、治療標的分子の探索:多数の腫瘍マーカー、治療標的分子候補の検討を行っているが、H29年度までに十分に解析できなかったものについては、引き続き解析していく。LASEP3については、がんの増殖に関与する分泌タンパクであり、免疫組織染色を行い、重要な予後マーカーでもあった。また、血清マーカーとしても有用であった。機能解析に関しても進めていくとともに、腫瘍マーカーとして、早期の実用化に向け、市販化を目指しELISAのキット化の検討を行いたい。治療標的分子についても、URST1、KIF11など、阻害剤でがん細胞の増殖抑制効果を確認できており、実用化に向けた検討が必要であるが、阻害剤が水に溶けにくい等の問題もあり、新たな阻害剤が入手できた場合は、そちらも使用して検討していく。高感度マーカー:肺がん患者10-20症例について、血清、血漿Exosome中のmRNAの抽出、Digital PCRで検出系が確立され、一部の候補について、その有用性が確認できたが、多数の肺がん血清、血漿を用いて、引き続き検討を進める。新しい測定キット、測定機器が販売された場合には、検討しより良い測定系の確立を試みる。
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