研究課題
プロトコールを作成し、当施設の倫理委員会の許可を取得した(E14-210)。各施設に本研究の目的と意義に関し、大学病院輸血部会議と日本輸血学会総会にて説明し、症例登録を開始した。登録症例は匿名化を行い、本学にて管理した。施設には調査票を配布した。対象症例は、①不規則抗体スクリーニング未実施で輸血を行った後、輸血前検体で不規則抗体陽性と判定された症例、②不規則抗体スクリーニングで抗体陽性であったが交差適合試験を行わずに輸血した症例、③不規則抗体陽性で、交差適合試験で抗原抗体反応を認めた症例とした。調査項目は、施設の背景、不規則抗体陽性の場合に抗原陽性血を輸血した経験、患者の背景、検出された不規則抗体輸血時の状況、輸血した製剤、輸血後の副作用、経過と転帰とした。解析項目は、全輸血に占める抗原陽性輸血の頻度、不規則抗体検査または交差適合試験を省略した際の抗原陽性輸血の頻度、抗原陽性輸血を行った場合の副作用の発症頻度、内容、発症時期、重症度、転帰とした。2016年12月までに39施設より736例が報告された。最も多く報告された抗体は、非特異的もしくは同定不可の自己抗体; 205例(27.9%)、次いで抗Lea抗体; 155例(21.1%)、冷式抗体; 136例(18.5%)であった。抗原陽性輸血を行った背景は、間接抗グロブリン試験が陰性 308例(41.8%)が最も多く、次いで、非特異的な自己抗体の検出 197例(26.8%)、ガイドライン上で抗原陰性血の選択不要 117例(15.9%)であった。有害事象は21例(2.9%)に認められ、そのうち3例は抗原陽性輸血に起因する溶血性輸血副作用が強く疑われた。さらに今後、症例数を重ね、検討する。
2: おおむね順調に進展している
目標症例1000例のうち736例が登録され、症例の登録は順調に進んでいる。各施設のIRB取得は鈍化してきており、今後、登録例が伸び悩むことも予想される。輸血細胞治療学会の総会、地方会、例会、大学病院輸血部会議等の場を利用して、登録の促進をはかりたい。
2017年度の輸血細胞治療学会の総会、地方会、例会、大学病院輸血部会議等の場を利用して、登録の促進をはかりたい。また、輸血細胞治療学会のHP、各施設への依頼メールも活用したい。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (4件)
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巻: 62(6) ページ: Page651-63