研究実績の概要 |
「PYCARD(ASC)スプライスバリアントの機能解析」 インフラマソームアダプター分子ASC野生型およびスプライスバリアントのTHP-1細胞内発現系を構築し、PMAおよび尿酸塩やフラジェリンによる刺激を行い、ASC野生型/エクソン2欠損型発現によるIL-1産生量を比較した。その結果、尿酸塩、フラジェリンどちらの刺激によっても活性型IL-1β 産生量がエクソン2欠損型で野生型に比して有意に高いことを見出した。さらに免疫沈降実験を行い正常型/エクソン2欠損型ASCとNLRP3またはNLRC4, あるいはCaspase-1との結合性を解析した結果、エクソン2欠損型ASCは尿酸塩刺激ではNLRP3結合性が増大し、フラジェリン刺激ではNLRC4との結合性が低下した。Caspase-1との結合性に変化は認めなかった。 「PYCARD(ASC)スプライシング異常機構の解明」 エクソン2欠損型ASC発現を認めた回帰性リウマチ (PR) 家族発症患者のDNAエクソン1上流に見出した 一塩基変異を含む正常型/変異型DNA断片を pSPL3ベクターに挿入したミニジーンを構築し、HEK293細胞およびTHP-1細胞に導入しスプライシング再現実験を実施した。その結果、一塩基変異を含むDNAを細胞内導入した場合、野生型配列DNAに比してエクソン2欠損型mRNAが優位にスプライスされることを見出した。本変異は日本人集団においても一定の頻度で存在することが公知になっており、本変異と関連して産生されるPYCARD/ASCスプライスバリアントがPRにとどまらず、インフラマソームが信号介在して生じると考えられるメタボリックシンドロームやアルツハイマー病などの疾患感受性にも関わっている可能性が示唆された。
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