研究課題
肝インスリン分解の影響を受けにくい新規インスリン抵抗性指標の開発のため、2型糖尿病患者、非糖尿病ボランティアにグルコースクランプ試験、食事負荷試験を行った。非糖尿病ボランティアでは、血中のインスリン値を用いたインスリン抵抗性指標、HOMA-IR、Insulin Sensitivity Index(ISI)と、血中Cペプチド、血糖値を用いた新規インスリン抵抗性指標CPR-IRはグルコースクランプ法の結果と同等の相関であった。しかし、2型糖尿病患者で、肝インスリン分解の強い患者ではHOMA-IR、ISIはグルコースクランプの結果と相関が低かったが、CPR-IRは良好な相関を認めた。肝インスリン分解の強い患者の背景では、食後血糖が高い患者が肝インスリン分解が強い傾向があった。これらの結果から、糖尿病状態で、食後血糖が高値である患者では肝インスリン分解が亢進し、血中インスリン値を使用したインスリン抵抗性指標がグルコースクランプ試験の結果と相関が低いと考えられた。これに対して、肝臓でほとんど代謝されない血中Cペプチドを用いた場合、肝インスリン分解の影響を受けにくく、グルコースクランプ試験の結果と良好な相関を認めると考えられた。新規インスリン抵抗性指標CPR-IRは糖尿病状態でも有効なインスリン抵抗性指標と考えられ、今後の臨床研究、疫学研究などにも応用可能な有効な新規インスリン抵抗性指標と考えられる。また、本研究中、血中の糖終末化産物が高値であるとインスリン分泌が低下していることをJournal of Diabetes Research誌に掲載予定となった。
2: おおむね順調に進展している
2型糖尿病患者、非糖尿病ボランティア20例ずつ、計40例の検査が終了している。期間中に50例が目標であるため、概ね順調に進行している。
2型糖尿病患者、非糖尿病ボランティア20例ずつ、計40例の結果で論文投稿しているが、100例程度を目標とするように指摘されることが多い。さらに症例数を増やしていく。
検査を予定していた2型糖尿病患者の病状が検査に不適な状態となり、検査キャンセルとなったため、助成金の残金が生じた。
引き続き2型糖尿病患者、非糖尿病ボランティアにグルコースクランプ試験、食事負荷試験などを行う。
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Journal of Diabetes Research
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BIO Clinica
巻: 31 ページ: 87-89