研究課題/領域番号 |
16K08939
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
高橋 伸彦 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (20372279)
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研究分担者 |
木村 敦 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (90422005)
家子 正裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50250436)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エクソソーム / 長鎖非コードRNA / 糖代謝異常 / 臓器特異的病態マーカー |
研究実績の概要 |
本研究は糖代謝異常の臓器特異的病態マーカーとなるエクソソーム内在長鎖非コードRNAの探索を目的とする。本年度は主に、1)エクソソーム内在長鎖非コードRNAの網羅的解析、2)糖代謝に関わる細胞内長鎖非コードRNAの探索を行った。1)マウスC2C12骨格筋細胞に細胞透過性セラミドを作用させることでインスリン抵抗性を惹起した群と対照群の2群を設定し、両者の細胞培養培地から昨年度に確立したカラムを用いた方法(サイズ排除法)にてエクソソームを抽出した。エクソソーム分画の確認はWestern blot法にてマーカータンパク質であるCD63の検出で行った。次に、エクソソームから抽出したRNAを鋳型としてssDNAライブラリを作成し、マイクロアレイ法を用いてエクソソーム内に含まれる遺伝子発現を網羅的に解析した。尚、マイクロアレイ解析に用いたAffymetrix社のClariom D Arrayは、本研究の目的とする長鎖非コードRNAを約3万種カバーしており、十分な検討が可能なチップである。発現解析の結果より、エクソソーム内に数多くのnoncoding遺伝子が検出できたとともに対照群と比較したセラミド群における長鎖非コードRNAの変化リストが得られた。今後、得られた個々の長鎖非コードRNAが実際にセラミド処置にて有意に変化するのかについて確認実験を行うとともに、セラミド誘導以外のインスリン抵抗性モデルにおいても同様の変化が得られるのかについて検討を進めていく。2)糖尿病治療薬であるメトフォルミンを作用させた骨格筋細胞における長鎖非コードRNAの変化を解析しており、その中で糖代謝に関連するものを探索中である。このような検討からインスリン抵抗性を反映する細胞外長鎖非コードRNAを探索し、バイオマーカーとしての意義の確立を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エクソソーム分画からマイクロアレイ解析のプローブ作成に必要な量のRNAを採取できるようになるまでに多少時間を要したが、年度内に骨格筋インスリン抵抗性モデルにおけるエクソソーム内在長鎖非コードRNAの発現解析を行うことができた。また、細胞内長鎖非コードRNAと糖代謝との関連に関しても探索および解析を進めており、全体として研究は着実に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイ解析結果をもとに、対照群と比較しセラミド群で発現(分泌)が大きく変化した個々のエクソソーム内在長鎖非コードRNAについて、それらが実際にセラミド処置にて有意に変化するのかどうか確認実験を行うとともに、セラミド誘導以外のインスリン抵抗性モデルにおいても同様の変化が得られるのかについて検討を進める。このような検討を進めることでインスリン抵抗性を一般的に評価できるマーカーを探索する。また、当初の研究計画では主にexosome中の長鎖非コードRNAを検討対象としていたが、本研究内容をより深めるために糖代謝と細胞内長鎖非コードRNAとの関係についても研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
網羅的解析によって得られたエクソソーム内在長鎖非コードRNAについて、個別の検討に用いる高価な試薬(siRNAやTaqMan assayなど)の購入に到っていなかったため。次年度使用額はそれらの試薬購入費にあてられる予定である。
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