研究課題/領域番号 |
16K08941
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
岩津 好隆 自治医科大学, 医学部, 講師 (40424014)
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研究分担者 |
黒尾 誠 自治医科大学, 医学部, 教授 (10716864)
山田 俊幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (50211636)
小谷 和彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60335510)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 慢性腎臓病 / 無機リン / Calciprotein particle / FGF23 / 老化 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き当院腎臓内科通院中または入院中の慢性腎臓病患者より文章により同意を得て検体を収集している。現在,入院12名,外来211名の承諾をえている。 本研究で使用した血漿Calciprotein particle (CPP)の測定法であるゲル濾過法では、これまでのfetuin-A法では測定できなかった比重の軽いCPP (low density CPP; L-CPP) が測定可能となった。これまで測定されてきたCPPは16,000~24,000 gで2時間遠心分離すると沈殿する、比重の重いCPP (high density CPP; H-CPP) である。 承諾を得た148症例を使用し、①慢性腎臓病のステージまたは推定糸球体濾過値(eGFR)ごとの血漿総CPP値、血漿L-CPP値、②血漿CPP値、血漿L-CPP値に影響すると予想される因子との関連について検討した。慢性腎臓病ステージの進展とともに血漿総CPPおよびL-CPPは有意に増加した。単相関では、血漿総CPPは年齢、リン、fibroblast growth factor 23(FGF23)と正の相関を認め、eGFRやビタミンDとは負の相関を認めた。重回帰分析の結果では、年齢と血清リンが関連した。血漿L-CPP は血漿総CPP、年齢、FGF23やリンと正の相関関係を認めた。また、eGFRやビタミンDとは負の相関を認めた。 重回帰分析の結果では、年齢とリンに加えFGF23が関連した。H-CPPは148症例中49症例で検出され、検出されない症例と比較し、有意にeGFRやビタミンDが低値で、リン、FGF23、副甲状腺ホルモン、T-CPP、L-CPPが高値であった。 CKD進展とともに血漿CPP値は増加した。血漿CPP中でもL-CPPは加齢に伴う病態に、H-CPPはCKDに伴う病態に関与している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、予定通りに進捗している。新規エントリーの分を含めて、尿蛋白を含む尿検査データを用いた解析や心血管病や末期腎不全、eGFR低下速度との関連を検討することにより、さらに慢性腎臓病における血漿CPP値の臨床的意義をさらに追求していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
尿バイオマーカーや血管石灰化に関連するマーカーなどと血漿CPP値の関連性について評価し、慢性腎臓病における腎障害や血管石灰化のメカニズムへの血漿CPPの関与について検討を進める。また、尿中CPPの評価法について収集した尿検体を用いて検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 本年度は、FGF23値や血漿CPPの測定は一部しか行っておらず、予定通り研究費の執行ができなかった。 (使用計画) 次年度は、FGF23値や血漿CPPの測定以外に血管石灰化と関連するオステオポンチンなどの測定キットを購入予定である。また、学会参加に伴う旅費の支出や、研究に関する論文の校正・投稿料、データ収集に必要な事務用品の購入を予定している。
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