研究課題
動脈硬化自然発症モデル動物のApoe欠損マウスにケメリン9またはケメリンを投与すると、食餌量、体重、収縮期血圧、拡張期血圧、血漿中のグルコースおよび総コレステロール値に有意な違いは認めなかったが、ケメリン9投与により大動脈硬化病変は有意に抑制され、これには大動脈弁輪部の単球/マクロファージの浸潤およびVSMCの含有量の抑制を介していた。また、ヒト由来細胞でメカニズムを検討したところ、ケメリン9は、ヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVEC) のTNF-α誘導性のICAM-1、VCAM-1、E-selectin、MCP-1の発現を抑制し、HUVECへの単球接着も抑制した。ケメリン9は、CD36発現の抑制とABCA1発現の促進を介して泡沫化を抑制した。ケメリン9は、THP-1細胞由来マクロファージの分化自体に影響はないが、炎症性フェノタイプを炎症抑制性のM2にシフトした。それにはPPAR-γ発現の促進が関与していた。ケメリン9は、大動脈平滑筋細胞 (HASMC) の遊走および増殖を抑制したが、アポトーシスおよび細胞外マトリックス発現は誘導しなかった。HASMCの遊走および増殖の抑制には、ERK1/2のリン酸化抑制、PI3K、Aktのリン酸化促進が関与していた。さらに、バスピン、ケメリン、受容体ChemR23は非冠動脈疾患 (CAD) 患者の正常冠動脈では殆ど認められなかったが、CAD患者ではバスピンが強発現しており、非CAD患者に比較してCAD患者でChemR23の発現は高い傾向にあった。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
Clin Sci
巻: 132 ページ: 2493-2507
doi: 10.1042/CS20180451
Int J Mol Sci
巻: 19 ページ: 1732
doi: 10.3390/ijms19061732
巻: 19 ページ: 1293
doi:10.3390/ijms19051293
J-Open Access Journal of Multidisciplinary Science
巻: 1 ページ: 94-105
https://doi.org/10.3390/j1010010