非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肝炎や肝硬変へ発展することから、簡易的な検査法の開発が望まれている。miRNAは血液中に安定して存在し、疾患に対して高い感度・特異度を示すため、新たなバイオマーカーとして注目されている。我々はこれまでにNAFLDによって血清miR-122が高値となることに加えて、血清miR-27aが低値となることも明らかにした。そこで本研究では、この2つの血清miRNAの比(miR-122/ miR27a)によるNAFLDの新規バイオマーカーとしての有用性について検討した。 対象者は一般住民健診の受診者469名(男性186名、女性283名)とし、脂肪肝の有無は腹部超音波検査、アルコール消費量は質問紙法により調査した。脂肪肝を有し、アルコール消費量が男性≧30 g/day、女性≧20 g/dayの受診者をNAFLD群とし、脂肪肝を認めなかった受診者をNormal群とした。血清miRNA値はリアルタイム定量PCRにてコピー数を算出し、Normal群とNAFLD群で比較した。またROC曲線により病態識別能を評価した。 受診者469名のうち、NAFLD群は51名であった。Control群と比較しNAFLD群では、血清miR-122値が1.50倍に上昇し(p<0.05)、血清miR-27a値は0.58倍に減少した(p<0.01)。この2つの血清miRNA値の比(miR-122/miR-27a)はNAFLD群において2.14倍を示した(p<0.01)。血清miR-122値やmiR-27a値に比べて、miR-122/miR-27a比はROC曲線におけるAUC(曲線下面積)についても高くなった。 以上の結果から、血清miR-122/miR-27a比はNAFLDにおける新規バイオマーカーとなりうることが示唆された。今後は病態識別能の精度を上げるため詳細な検討が必要である。
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