研究課題
LAMP法は、迅速な病原体核酸検出を行う有用な検査法であるが、高感度検出法のためのprimer選択が複雑など解決すべき問題も多い。この問題の解決のためRPA法とLAMP法の融合による解決(R-LAMP)を着想した。R-LAMPによるHHV-6 DNAの検出下限は、熱変性による検出限界とほぼ等しい10コピー/反応であり、プラスミド濃度と濁度の間にも良好な直線関係が示された。本法は、熱変性と比較するとコンタミネーションのリスクを減らすことができる一方、余分に試薬が必要など問題はのこる。今後、まだ臨床検体による検討を必要とする。次に、ポリメラーゼスパイラル反応(PSR)によるVZV DNAの検出を行った。この方法でも10コピー/反応を検出することができ、VZV LAMPよりも高感度であることが分かった。しかし、問題としてNTC(No template control)の濁度上昇が確認された。NTCの濁度上昇は、電気泳動結果からprimerダイマーによるものと確認された。この濁度の増加とDNA増幅とを区別するために、EprobeをPSRに利用することにした。Eprobeは、近年開発された等温増幅法にも利用可能なprobeである。EprobeによるPSRの感度も10コピー/反応であった。しかし、EprobeによるPSRを用いたVZV DNAの検出でもNTCの蛍光強度の増加が確認された。この原因は、primer同士のアニールによって生じる産物中にEprobeとのミスアニールする配列が生じる可能性があったことがOligoanalyzerによる解析で分かった。NTCとPSR産物の区別のため行った融解温度分析で、ピーク蛍光温度には、明らかな差があり両者を区別可能であることも分かった。本研究では、臨床検討のためさらなる研究が必要とされるものの、LAMP法の感度改善法、あらたな等温増幅法を構築した。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
J Med Virol.
巻: 90(10) ページ: 1636-1642
10.1002/jmv.25244.
Transpl Infect Dis
巻: 20(4) ページ: 印刷中
10.1111/tid.12916.
J Clin Microbiol.
巻: 56(6) ページ: 印刷中
10.1128/JCM.00035-18.
J Infect Dis.
巻: 217(4) ページ: 589-596