研究課題/領域番号 |
16K08954
|
研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
大山 浩之 神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (80572966)
|
研究分担者 |
森田 いずみ 神戸薬科大学, 薬学部, 助手 (20299085)
小林 典裕 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (90205477)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 免疫化学 / タンパク質工学 / 進化分子工学 / 抗体工学 / 分析化学 |
研究実績の概要 |
抗体は病態検査に不可欠の機能性分子であるが、免疫動物からは目的の結合能を持つ分子種は必ずしも得られず、遺伝子操作による機能改変に期待がかかる。ランダム変異を導入した多様な抗体をファージ粒子上に「提示」し、標的抗原に結合するクローンを単離するが、膨大な非特異的ファージからの選別に多大の労力と時間を要する。この状況の抜本的な改善が期待されている。申請者はマウスモノクローナル抗ファージ抗体をクローニングし、その可変部をリンカーで連結した一本鎖Fvフラグメント(scFv)を調製し、抗原特異的なscFv提示ファージの検出を試みた。抗ファージscFvのC末端に付加したタグ配列FLAGを認識する蛍光標識抗体を用いて共焦点レーザー顕微鏡による蛍光観察を行ったところ、繊維状ファージと推定されるサイズである約1μmの蛍光像が得られた。続いて、モデル抗原として用いた抗コルチゾール (CS) scFv提示ファージを同様に観察しscFvの蛍光検出を行ったところ、同様にファージ粒子と推定される蛍光像が観察された。続いて、本scFvの抗原であるCSのBSA結合体を反応させ抗原抗体複合体としてscFvの検出を試みた。申請者が調製したCS-BSA結合体をビオチン標識したのち、アビジンおよび申請者が自作した蛍光標識抗CS IgG抗体で染色した結果、scFvに由来すると推定される蛍光像が得られた。さらにscFvタンパク質に特異的なモノクローナル抗イディオタイプ抗体を調製して同様に標識し、scFv提示ファージの選択的な検出が可能となる最適条件を決定し、抗原特異的なファージを検出する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では蛍光標識した抗ファージ抗体と抗scFv抗体を駆使して、1ビリオンの抗体提示ファージの可視化を試みることが平成28年度の計画であった。現在、抗ファージ抗体のクローニングおよびscFv化を成功させている。本scFvを用いた共焦点レーザー顕微鏡下でファージ粒子の最適観察条件を決定することにも成功しており、当初の研究計画通りに遂行されている。また、全ファージ中の抗体提示率の算出に関しても、ビオチン標識抗原および蛍光標識モノクローナル抗体(いずれも申請者が自作したもの)を組み合わせた実験により明らかになりつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
scFv提示ファージの提示率算出に関して、別のアプローチによるscFv検出を試みる。研究分担者によって調製されているscFvタンパク質に特異的なモノクローナル抗イディオタイプ抗体を蛍光標識して用いる。抗原抗体反応に基づく蛍光像とscFvとイディオタイプ抗体に基づく蛍光像が同時に得られれば提示率の算出はより確実なものになると期待される。以上の蛍光観察実験により、調製するscFv提示ファージの提示率を高める大腸菌培養条件を検討し、本研究の真の目的であるファージ提示ライブラリーのスクリーニングの効率化を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りの支出となったが、残額が少なくなり必要な物品を購入するには足りなくなったため次年度使用することとした。
|
次年度使用額の使用計画 |
必要な試薬の購入に使用する予定である。
|