研究課題
ムコ多糖症は先天代謝異常症であり、これまでに7つの原因遺伝子が同定されている。日本及びアジアで発見されるMPSの50%はMPS-IIであり、原因遺伝子はイズロネート-2-スルファターゼである。分子標的が同定されたことにより、酵素補充療法を中心とした治療法が開発されている。一般的に、治療法が確立されている小児疾患においては、患者を早期発見し、治療を迅速に行うことが重要である。こうした背景から、新生児期に精度良く患者を発見する方法論の開発が希求されてきた。歴史的には、1960年代に考案された乾燥ろ紙血検体(一般にGuthrie cardとして知られる)から酵素を抽出し、蛍光物質である4MUと結合した基質を用いて、酸性条件下で酵素活性を測定する方法が考案されている。しかし、バックグラウンドが高いなどの問題点があり、特に酵素活性値が低い場合に判定が難しい場合が多いことが指摘されてきた。本研究では、高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)法を利用してムコ多糖症II型の臨床検査法の開発を行った。測定原理は、ワシントン大学のGelbにより開発された方法を利用した。本研究では、まず、MPS IIの原因酵素であるイズロネート-2-スルファターゼの酵素活性測定法を検討した。その後、MPS IやMPS VIIの原因酵素活性と合わせて、ライソゾーム病11疾患の原因酵素同時測定系を開発した。本研究で開発した定量分析手法は臨床検査領域での広い応用が可能である。具体的には、その迅速性を生かしたラボスケールにおける確定診断および新生児スクリーニングへの応用が期待される。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件)
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