研究課題/領域番号 |
16K08965
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
森田 浩之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90252147)
|
研究分担者 |
横田 康成 岐阜大学, 工学部, 教授 (00262957)
池田 貴英 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30444326)
梶田 和男 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (70402154)
山内 雅裕 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (00550162)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 動脈硬化 / 頸動脈エコー検査 / 心臓足首血管指数 / 内膜中膜厚 |
研究実績の概要 |
現在,血管年齢の推定は主にCAVIを用いて行っている.今回,我々が開発した頸動脈エコー動画像を用いて血圧変動に伴う頸動脈血管壁の動きから推定した血管年齢の妥当性を,心臓足首血管指数(CAVI)によるそれと比較した.連続してCAVIの計測と左右の頸動脈エコー検査を行った147名の患者(平均年齢67±12歳、男性62名、女性85名)を対象とし,それぞれから血管年齢を推定した.それぞれの検査において実年齢より5歳以上血管年齢が高かった患者を動脈硬化進行群,それ以外を正常群とした.一方,動脈硬化のリスク因子が3つ以上ある患者,または動脈硬化性疾患(脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、閉塞動脈硬化症)の既往のある患者を動脈硬化高リスク群,それ以外を低リスク群とした.2つの方法での動脈硬化高リスク群に対する感度,特異度,正診率を求めた.CAVIでは、右4名、左5名で閉塞性動脈硬化症のため血管年齢推定が正確にできなかった。頸動脈エコー検査では、左4名で血管年齢推定ができなかった。実年齢とCAVIの関係はR=0.747、実年齢と頸動脈エコーとの関係はR=0.416であった。CAVIと頸動脈エコー動画像から推定した血管年齢にはR=0.354と弱い相関が認められた.年齢に比して動脈硬化が進行しているという診断に関しては,CAVIでは感度29%,特異度85%,正診率62%,頸動脈エコー動画像では感度49%,特異度71%,正診率62%であった.以上の結果から、頸動脈エコー動画像から推定した血管年齢は、CAVIから推定したものと正診率ではほぼ同等であると考えられる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この2年間で約250例の患者の頸動脈エコー検査とCAVIを同時に行うことができた。これによって、この2つの検査方法の関係を明らかにできる予定である。また、10歳程度の生命予後が悪いと言われている糖尿病患者やリウマチ患者でのデータの収集も順調であるが、予定数には至っていない。一方、人間ドックによる正常者での頸動脈エコー検査が数名程度しか収集できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
頸動脈エコーとCAVIではそれぞれ測定している部位が異なる関係もあって、計測が正確にできない場合があることが判明した。今後はその要因を明らかにしてゆく。一方、正常者での頸動脈エコー検査を推進し、正常範囲の設定をより強固なものにしたい。また、糖尿病の有無、関節リウマチの有無によって2群に分けた際の、動脈硬化度の進展程度を明らかにする予定である。また、本法を心エコーに応用して、心拡張障害のマーカーとなるかも検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
少額であるので、敢えて使用してしまわず、次年度使用額と翌年度助成金と合わせて、翌年度計画に基づき使用することにした。
|