研究課題/領域番号 |
16K08971
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
志村 浩己 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40303416)
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研究分担者 |
伊藤 祐子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60402038)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 甲状腺癌 / アルギナーゼ / ARG2 / Nkx2-1 |
研究実績の概要 |
1.甲状腺癌細胞におけるNkx2-1強制発現によるarginase遺伝子発現誘導効果の解析 ヒト甲状腺癌培養細胞であるBHP18-21v細胞にアデノウイルスベクターにより転写因子Nkx2-1遺伝子を導入し,強制発現させた結果,arginase(ARG)2遺伝子の発現が最大178倍に増加するのが確認された。その誘導効果は時間依存性であり,遺伝子導入後96時間で最大となった。一方ARG1遺伝子の発現誘導は認められず,ARG2遺伝子特異的な効果であることが確認された。
2.発現誘導されたARG2の甲状腺癌細胞における機能解析 Nkx2-1遺伝子導入によりBHP18-21v細胞はアデノウイルスベクターの濃度依存的に細胞死誘導が認められ,アデノウイルス感染後5日後にはほぼすべての細胞の死滅が観察された。この細胞死誘導効果におけるARG2遺伝子発現の効果を検討するため,ARG2発現アデノウイルスベクターの構築を試みたが,ARG2遺伝子の細胞毒性からか,アデノウイルスベクターの構築は困難であった。そこで,ARG2遺伝子に対するsiRNAを導入し,細胞死有効効果を検討した結果,Annexin V染色およびカスパーゼ活性測定によりアポトーシス細胞のARG2遺伝子発現抑制によるアポトーシスの抑制作用を認めた。従って,Nkx2-1による細胞死誘導効果の少なくとも一部はARG2遺伝子発現誘導によるアポトーシス誘導効果が関与している事が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ARG2発現アデノウイルスベクターの構築がARG2遺伝子の細胞毒性により困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
ARG2の機能解析にsiRNAが有効であることが判明したため,in vivoの実験に対してはアデノウイルスベクターにARG2遺伝子shRNA発現カセットを挿入に実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に使用したソフトウエア使用代金(41,375円)が次年度引き落としとなっているため。
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