特発性血小板減少性紫斑病(ITP)における自己抗体が巨核球成熟障害の病態に関与するか検討した。ITP患者血漿中の抗トロンボポエチン(TPO)抗体は約24%、抗TPO受容体抗体は約10%に認められ、健常人血漿中では認められなかった。また、抗TPO抗体及び抗TPO受容体抗体のうち半数例は、巨核球系細胞におけるTPO受容体の下流シグナルのリン酸化を阻害する機能的な自己抗体であり、それらの抗体はITPの巨核球成熟障害に関与している可能性が示唆された。一方、TPO受容体作動薬であるエルトロンボパグは機能的な自己抗体の有無に関わらず、巨核球系細胞の下流シグナルのリン酸化を誘導することが明らかとなった。
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