研究課題/領域番号 |
16K08984
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
山中 康成 国立研究開発法人理化学研究所, 予防医療・診断技 術開発プログラム, マネージャー (90402859)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | アンチセンスRNA |
研究実績の概要 |
エピゲノム制御に関わる疾患アンチセンスRNAを同定し、そのRNA定量検査法を開発するため、本年度は昨年度に引き続きクロマチン関連蛋白質のHMGB2と結合するアンチセンスRNAの同定を試みた。予備実験としてすでに行っていたCross-linking immunoprecipitation (CLIP)によるRNAの収量が極めて少ないことが明らかになったため、代替策としてRNA immunoprecipitation (RIP)を行う方針とし、HMGB2を認識する複数の抗体を用いた免疫沈降の条件検討を進めたところ、アンチセンスRNAを同定するためのRNA seq解析に供するに十分なRNAの収量を得ることができる条件を見出した。この条件でアンチセンスRNAの同定を進める予定である。 これと並行して、疾患アンチセンスRNAを測定する対象となるヒト検体を得るため、脳脊髄液・血液・尿などの検体の収集について複数の医療機関と共同研究や倫理承認に関する協議も進めた。 さらに、測定系の開発のため国産プローブを用いて5種類の白血病キメラ遺伝子を定量PCR法で測定したところ、既存の米国のTaqManプローブと同等の感度と特異度を得ることができた。これらの実験結果を投稿し、現在査読中である。また、米国のAmerican Association for Clinical Chemistryの学会(69th AACC Annual Scientific Meeting & Clinical Lab Expo)に参加し、米国における検査医学の動向に関する情報を得て、この国産技術を用いたRNA定量検査法を国際的に展開することを視野に入れた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNA immunoprecipitation (RIP)の条件検討を進めたところ、RNA seq解析に供するに十分なRNAの収量を得ることができる条件を見出した。国産プローブを用いた定量PCR法の測定系を確立し、既存のTaqManプローブと同等の感度と特異度を得ることができたので、この結果を投稿した。
|
今後の研究の推進方策 |
見出したRNA immunoprecipitation (RIP)の条件で、RNA seq解析に進む予定である。国産プローブを用いた定量PCR法の測定系が論文として公開されたのち、国際的に展開することを予定する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究はおおむね順調に進捗しているが、条件検討の結果に基づく本格実験が次年度にずれこんだため。
|