研究実績の概要 |
アトピー素因のあるモデルマウス(NC/Nga) において、精神的なストレスを加えることで掻破行動が生じ、徐々にアトピー性皮膚炎様症状が惹起されることを確認した。精神的ストレスを加える方法は拘束水浸ストレスであるwater avoidance stress を用いた。ストレスが適切に負荷されているか血清中のコルチコステロン値およびfecal pelletsを測定した。ストレス負荷により、血清コルチコステロン値およびfecal pellets の増加がみられた。 痒みの指標として、自動掻破行動測定装置であるSCLABA Realを用いて掻破行動を測定したところ、掻破回数の上昇があった。皮膚炎の評価には severity skin scoreを用い、湿疹病変の出現があった。さらに、皮膚病理組織の免疫組織学的検討を行った。皮膚組織ではマスト細胞およびNK細胞の増加があった。免疫血清学的には血清IgE、インターロイキン(2,4,5,10,13,17) およびインターフェロンγを測定し、血清IgE値の経時的な上昇が確認できたが血清中のインターロイキンおよびインターフェロンの変化は見られなかった、皮膚組織さらに脾臓組織はマルチビーズショッカーを用いて破砕し、アイソジェンを用いてmRNAを抽出した。次いで、real-time PCR法を用いて種々のサイトカインの発現を検討したところ、インターロイキン5、インターフェロンγの上昇があった。CRF受容体のmRNA発現量、脾臓、リンパ節培養細胞上清のサイトカイン産生能の変化を現在測定中である。 血清corticotropin-releasing factor (CRF)、ノルエピネフリン値、mRNAからのアドレナリン受容体発現量についてもこれから検討する予定である。
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