研究課題/領域番号 |
16K09001
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
片野 泰代 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60469244)
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研究分担者 |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
西田 和彦 関西医科大学, 医学部, 助教 (80448026)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | BEGAIN / 後シナプス / 慢性疼痛 / 記憶・学習 / 脊髄後角 / 海馬 |
研究実績の概要 |
これまでにbrain enriched guanylate kinase associated protein (BEGAIN)が脊髄後角でシナプスに位置する事を、前シナプスマーカーであるsynaptophysinおよび後シナプスマーカーであるPSD-95のそれぞれの抗体を用いて明らかにし、昨年度の研究実績として報告した。より多くのBEGAINがPSD-95と共局在することを定量解析から示したものの、このデータではBEGAINがシナプス前部あるいは後部のいずれにあるのかを明確に示したとはいえない。またどのような性質のシナプスであるかといった情報も全く不明のままであった。 本年度では、より詳細にBEGAINが発現するシナプスの性格付けを行うために、1)免疫電子顕微鏡法をABiSの支援を受けておこなった。本解析によって、海馬CA1領域で、ほとんどのBEGAINが非対象性シナプスの後部に認められ、さらに抑制性のシナプス前マーカーであるvesicular inhibitory amino acid transporter (VIAAT) 陽性のシナプス終末が確認できる対称性シナプスでは前部、後部シナプスのいずれにもBEGAINは認められなかった。さらに2)BEGAIN発現細胞のトレースを行うために、レポーターマウスの作成を先端モデル動物作成支援を受け実施している。 他方、BEGAINの細胞内分子機能を明らかにするために、3)相互作用分子の探索・同定を行った。GST-BEGAINを大腸菌にて発現、精製後担体へ吸着させアフィニティーカラムの作成をおこなった。同カラムを使用し、いくつかの相互作用するタンパク質を精製し、同定した。本解析過程で精製BEGAINが構造的に不安定であり、非生理的な複合体(凝集体)となる可能性を示しており、今後解析方法について再考が必要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BEGAINの相互作用分子として、いくつかの候補分子が同定された一方、精製したBGEAINの多くが、凝集していることが示された。そのことから、相互作用の信頼性が低いと考えられる。よって、本解析に対しては、別の方法を立ち上げ直す必要があると考えているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の解析で、BEGAIN陽性細胞、シナプスの性格付けとして、複雑な回路構造を有する脊髄ではなく海馬を解析に用いた。海馬はすでに多くの研究者によって、その回路が概ね明らかにされており、解剖学的にも整然とした細胞の並びを有している。そのことから、平成30年度の解析ではまず海馬にて詳細な解析を重ね、その後脊髄においても同様の局在や、入力の性質などを有しているか、そして作出予定のレポーターマウスで回路を可視化し解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)予定していた一部の解析が、今年度内に終了しなかった。 (使用計画)来年度、作成中のマウスを凍結胚の輸送および個体化、および培養細胞を使用したBEGAINの精製、相互作用分子の探索を実施ための費目として使用する。
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