研究課題
本研究は,痛み関連電位の観察により,新生児の痛みへの反応を定量する測定系を確立する試みである.保護者への説明と同意を経て新生児集中治療室入院中の児をリクルートし,定期採血検査に合わせて,脳波・近赤外線分光法を中心としたポリグラフを施行した.久留米大学病院NICUで2016年度まで6例のパイロットデータを収集し,ポリグラフの装着法や時間などのプロトコルの修正と最終決定を行った.2017年度はじめに研究代表者が施設異動となったことから,久留米大学でのデータ収集と並行して,名古屋市立大学病院NICUでの研究体制確立に努めた.研究計画に若干の遅れが生じたが,2018年度以降,データ収集を再開し,2020年9月までに予定症例数のリクルートメントを完了可能な見通しである.すでに計測が完了したデータの解析結果からは,静脈穿刺刺激と関連して心電図の特定周波数成分が減少すること,その減少率が,現在の標準評価法である痛みスコアと相関することが示唆された.現在,心電図と同時記録した皮質電位情報および脳組織酸素飽和度の変動周期との関連を比較し,どの変量が最も痛みを反映しているのか,あるいは,これらの情報を組み合わせることでより客観的でノイズに強い評価ができないか,解明を進めている.主要評価項目の解析完了は2020年度末を予定しているが,これに先駆けて,痛みと生体周期に関する英論文(Kinoshita et al. Sci Rep. 2016; Iwata S et al. Sci Rep. 2017; Kinoshita 3t al. JCEM 2018),乳児のストレスと生体リズムに関する英論文(Iwata S et al. Sci Rep. 2019),痛みやストレスに対する適応に関する英論文(Iwata S et al. PeerJ 2019)が掲載されている.
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件)
Pediatr Neonatol.
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doi: 10.1016/j.pedneo.2019.07.002.
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PeerJ
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