肩こりや腰痛など筋骨格系の慢性症状は、多くの国民が抱える諸症状のひとつである。慢性痛患者は、起立性低血圧などの循環機能障害も抱えうることが報告されているが、慢性痛と循環機能障害との関連については明らかにされていない。本研究課題では痛みの慢性化に関わる炎症に着目し、骨格筋の炎症性疼痛により誘発される循環反応の可塑的変化とその神経性機序を解明することを目的とする。 前年度までに、麻酔下ラットの後肢(骨格筋)への押圧刺激により心拍数や動脈圧に変化が生じること、骨格筋に急性炎症が生じた後肢への刺激ではこれらの反応が増大すること、を明らかにした。加えて、心拍数の変化は心臓交感神経活動が変化することにより生じることを示した。 本年度は、血管床の機能調節を司る腰部交感神経の活動が、後肢筋への押圧刺激により変化するかどうかを麻酔ラットを用いて検討した。その結果、後肢筋押圧刺激により動脈圧が上昇し、腰部交感神経活動が増加することが分かった。
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