研究課題/領域番号 |
16K09011
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
齋藤 正敏 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40241583)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | electron density / dual-energy CT / treatment planning |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、がんの放射線治療計画における線量分布計算に必要な『電子密度校正用ファントム』を、Dual-energy CTの使用を前提として簡便な構成かつ安価な材料を使い開発することである。本目的達成のため研究期間内に、「簡便かつ安価な電子密度ファントム」を構築し、電子密度が既知の標準物質や人体ファントムの電子密度校正を通して、本ファントムの基本的性能を調べるとともに、放射線治療計画における線量分布計算の精度を検証する。本年度の研究計画項目は、①安価な材料を用いた電子密度ファントムの構築、②電子密度が既知の被写体の電子密度校正を通した本ファントムの基本的性能の検証、である。①に関して、電子密度校正用のファントムとして入手が容易な「空気」、「水」、「アルミニウム」を選択し、この3種類の物質のみを用いて「エネルギー差分CT値-電子密度変換」の実験を行った。②に関して、空気、水、アルミニウムのエネルギー差分CT値と電子密度の間に直線関係が成立し、また、得られた電子密度校正直線を他の組織等価ロッドに適用した場合、誤差約1%以内で電子密度を校正できることが確かめられた。IPEM(Institute of Physics and Engineering in Medicine)Report 81によれば、放射線治療計画における電子密度校正の許容誤差を、水で±1%以内、肺および骨組織では±2%以内とすることが推奨されているが、本研究の結果は、この誤差許容基準内にほぼ収まることが確かめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた「安価な材料(空気、水、アルミニウム等)を用いた電子密度ファントムの構築」と「電子密度が既知の被写体の電子密度校正との精度比較」の2点を実施し、「簡便かつ安価な電子密度ファントム」の基本性能をある程度検証できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下の3点に重点を置き推進する。 ①電子密度ファントムのサイズ変化について:試作する電子密度ファントムのサイズ変化(直径20cm~50cm)によって生ずるビームハードニング効果の「電子密度校正」への影響を調べる。 ②CT値読み取りの関心領域の位置変化について:電子密度ファントムにおけるCT値読み取りのための関心領域の位置を変化させ、その「電子密度校正」への影響を調べる。 ③付加フィルタの影響について:X線管への付加フィルタ(スズなど)の有無による「電子密度校正」の精度・安定性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果公表のための論文投稿に関わる出版社からの費用請求が遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
投稿費用の請求があり次第、使用する。他、当初予定通り、ファントム構築のための物品費、成果公表のための旅費などで使用する予定である。
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