本研究の目的は、がんの放射線治療計画における線量分布計算に必要な『電子密度校正用ファントム』を、Dual-energy CTの使用を前提として簡便な構成かつ安価な材料を使い開発することである。本目的達成のため研究期間内に、「簡便かつ安価な電子密度ファントム」を構築し、電子密度が既知の標準物質や人体ファントムの電子密度校正を通して、本ファントムの基本的性能を調べるとともに、放射線治療計画における線量分布計算の精度を検証する。最終年度の研究計画項目は、①撮影条件の最適化、②3年間の研究結果に基づき,『簡便かつ安価な電子密度ファントム』の臨床上の適用性について総括する、の2点である。①に関して、より確かに放射線治療計画を実行するためのDual-energy CT装置の撮影条件(管電圧,管電流)や電子密度ファントムのサイズやロッド配置などを最適化を試みた。3年間の研究結果から、X線管への付加フィルタ(スズ)の有無による「電子密度校正」の精度・安定性を調べた結果、サイズ変化や不可フィルタの有無に関係なく、エネルギー差分CT値と電子密度の間に直線関係が成立することを実証した。また、得られた電子密度校正直線を他の組織等価ロッドに適用した場合、誤差約1~2%以内で電子密度を校正でき、IPEM (Institute of Physics and Engineering in Medicine)Report 81の誤差許容基準内にほぼ収まることが確かめられた。
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