本年度は,乳児股関節の診断に適した超音波断層像を精度良く獲得するための操作手技・撮影をサポートするのに最適な画像分析法は何かを検討した.具体的には,超音波検査の動画像の中から診断に最適な至適断面像を自動認識する手法を開発した.開発した手法は深層学習(ディープラーニング)に基づいている.乳児の超音波検診動画像12本を計1526枚のフレーム画像に分割し,Graf法に基づく基準(基準1),またそれを2段階に緩和させた2つの基準(基準2と基準3:3の方がより緩やかな基準)の計3つの基準に沿って手動分類した.そして,手動分類した画像を教師画像として深層学習による学習と自動分類を行った.基準ごとに性能評価を行った結果,腸骨外壁,腸骨下端,関節唇がわずかにでも描出され腸骨外壁をまっすぐに捉えるという基準2で最も分類精度が高くなり87.3%となった.基準1では86.0%,基準3では85.3%となった.受信者動作特性(Receiver Operating Characteristic:ROC)解析でのAz値は基準1~3の順で0.69,0.96,0.91となった.本手法は乳児股関節の超音波検査中にリアルタイムで診断に適した断面であるかどうかを手技者に提示するシステムの要素技術として重要な役割を果たすこと考えられる.
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