研究課題/領域番号 |
16K09027
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
門前 一 近畿大学, 医学部, 准教授 (10611593)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 医学物理学 / 放射線治療 / 電子線 / アンギオ / 放射線防護 |
研究実績の概要 |
タングステン機能紙は放射線遮蔽能力と紙の特徴を併せ持ち、裁断や折りたたみ、他材料への貼り付けといった加工が容易であり、人体への毒性もない。この特長を活かした医学への応用として、今年度は以下の4項目について検討した。1) タングステン機能紙の基礎特性:JIS規格に則り、物理特性(面密度、抗張力、引き裂き強度、空気透過時間)および放射線遮蔽効果(X線、γ線)について明らかにした。2)125Iを用いた前立腺癌の小線源永久刺入治療における放射線防護:遮蔽率の物理特性と術後の介護者、家族への被ばく低減を目的とした、遮蔽パンツを作製、患者に着用して放射線遮蔽率を測定。2) Interventional Radiology (IVR)における術者の放射線防護:循環器領域での術者被ばく低減について検討。3) 乳がん術中照射における胸壁保護のための遮蔽材としての利用:乳がん術中照射中に体内に挿入する胸壁保護のための遮蔽材として利用可能か検討を行った。電子線エネルギーごとにタングステン機能紙積層枚数を調整することで、既存の遮蔽プレートと同等の遮蔽性能を発揮することを示した。既存遮蔽プレートはアクリルと銅板からなり、体内挿入時にプレート以上の組織切開を要する。今回着目したタングステン機能紙は、紙の特性である裁断や、細く巻くことが可能で、本技術が確立されれば切開範囲の縮小が得られ、より侵襲の少ない術中放射線治療を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の論文が受理された。1)タングステン機能紙の基礎物理特性・X線、γ線の遮蔽特。2)乳がん術中照射における胸壁保護のための遮蔽材としての利用。3) 125Iを用いた前立腺癌の小線源永久刺入治療後の患者が家族、介護者の被ばくを低減することを目的に着用するタングステン紙防護パンツについて。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、医学応用・エコフレンドを主眼として、新しい放射線防護体系の確立の一助となるように研究を推進、国際学会での発表、論文掲載を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度購入した実験物品を使用し、今年度は購入せずに研究が遂行できた。次年度は物品費として使用予定。
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