研究課題/領域番号 |
16K09032
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
菱田 朝陽 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40447339)
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研究分担者 |
渡辺 能行 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00191809)
細野 晃弘 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (00723454)
内藤 真理子 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10378010)
渡邉 美貴 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (60773695)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 胃がん / ピロリ菌 / 遺伝疫学 / 予防医学 / 萎縮性胃炎 |
研究実績の概要 |
今年度は、日本人におけるピロリ菌関連胃がんの個別化予防を目指し、全国4地区においてリクルートされた胃がんの既往歴のない3,385名の対象者について、ピロリ菌感染、(ピロリ菌感染者における)萎縮性胃炎、および重症萎縮性胃炎の発症リスクに関する遺伝子についての、ゲノムワイド関連解析(GWAS)、及び、SKAT解析を施行した。 各解析において、ピロリ菌感染の有無(診断基準:HPIgG 10単位以上)、萎縮性胃炎の有無(診断基準:PG 1 70ng/ml以下 かつ PG 1/2比 3以下)、重症萎縮性胃炎の有無(診断基準:PG 1 30ng/ml以下 かつ PG 1/2比 2以下)の二値形質(ロジスティック回帰分析:性・年齢・第5主成分までにより補正)と、血清ペプシノゲン値の連続量(PG1、PG 1/2比の各項目:補正要因は同上)に関する解析(線形回帰分析:補正要因は同上)を行った。 全ゲノム領域にわたる網羅的な解析により、日本人のピロリ菌関連萎縮性胃炎のリスクに関わる可能性のある遺伝子座と遺伝子(遺伝子単位のSKAT解析による)を見出し、現在、独立したデータセットで再現性を検証中である。 また、ピロリ菌に対する自然免疫において重要な役割を果たす、Toll-like受容体についてのSKAT解析においても、ピロリ菌感染・萎縮性胃炎のリスクに関するSNP、および遺伝子(遺伝子単位のSKAT解析)を見出し、同じく再現性を検証中である。 今後、その他のパスウェイや遺伝子についても、探索的な解析を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ピロリ菌関連萎縮性胃炎に関する有意な遺伝子と遺伝子座を見出し、再現性の検証を行っている。胃がん発生リスクに関する解析については、対象である各コホートにおける胃がん新規発症例の症例把握とデータ解析準備に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、他の遺伝要因・パスウェイに関しても探索的に解析を行い、日本人のピロリ菌関連胃がん、及び、萎縮性胃炎の予防に有用な知見を見出せるよう、努めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:論文発表の遅れ(論文掲載料の未支出)・データ準備の若干の遅れ(対象各コホートにおける胃がん新規発症例の把握、データ準備に時間を要している)のため。使用計画:国際誌を中心とした成果発表を行うとともに、データセットをもとに、ピロリ菌関連萎縮性胃炎、及び胃がんのリスク・予防に関わる遺伝子群の探索を引き続き行う。
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