研究課題/領域番号 |
16K09039
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
牟田 真理子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 准教授 (40445193)
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研究分担者 |
有賀 智之 東京都立駒込病院(臨床研究室), 乳腺外科, 医長 (60645282)
黒井 克昌 東京都立駒込病院(臨床研究室), 乳腺外科, 副院長 (30231301)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 味覚障害 / 化学療法 / がん |
研究実績の概要 |
本研究はがん化学療法時の味覚変化の実態と味覚変化が及ぼす健康影響を明らかにして、がん化学療法時の患者の健康状態改善を図り、QOLの向上を目的としている。平成28年度は初年度であり、情報の収集に努めた。平成28年度の研究計画は乳癌患者の味覚変化と食生活・健康状態の実施を把握するために、食習慣調査、味覚検査、生化学検査の情報収集を行うことであった。研究説明を行い同意を得た患者は20人である。一人の患者につき、化学療法前、化学療法中、化学療法終了直後、終了後6~12ヶ月と経時的にデータを取るため、まだほとんどの患者はデータ収集途中である。各データ収集について示す。 1.味覚検査について。味覚検査キットを患者に配布し、検査結果を郵送にて返送していただき、個人結果票を患者に郵送するという流れで行ったが、回収率はほぼ100%であった。 2.食事調査について。食事調査はBDHQ(簡易型自記式食事歴法質問票)を味覚検査キットと同時に配布して記入結果を回収、個人結果表を返送という流れであったが、これもほぼ100%の回収率であった。 3.生化学検査について。生化学検査は治療レジメンに組み込まれている採血を利用する計画だったので、カルテの閲覧から血清アルブミン値などのデータ収集を行った。 本研究の味覚検査は5味、3濃度を検査し、点数で評価されるため客観的評価が可能である。点数化することで、さまざまな比較が可能であり次年度以降の分析結果が興味深いものになるだろうと期待している。味覚とともにBDHQ(簡易型自記式食事歴法質問票)を配布・調査により、おおよその食事摂取量も把握できるため、味覚障害と食事摂取状況、栄養状態等さまざまな比較検討が可能となり、がん化学療法時の味覚障害と患者の栄養状態の関係を次年度以降に分析する予定だが、そのための基礎データを予定通り収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は情報収集を行いできるだけ数多くのサンプル数を獲得することを目標としてきたが、20例に達することができた。この20例という数字は、計画では3年間で60例を最低目標に掲げている分の1/3に達しており、ほぼ予定通りと考えている。また参加していただいた患者は脱落することなく、ほぼ100%の割合で1年近く続くデータ収集に協力していただいている。現在、データ収集途中ということもあり、20例すべてについて治療前から治療修了後までの完全な分析はできない状況であるが、数名の化学療法終了の患者の味覚変化の傾向を予備分析しているところである。この予備分析を行いながら次年度以降の分析方法や分析する項目などの検討もはじめている。以上より本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成28年度は情報収集を主に行ってきたが、まだサンプル数は少ないので引き続き患者データの収集を行っていく。この研究は術前化学療法の患者を対象としていたが、サンプル数を増やすために、術後化学療法の患者も加えていく予定である。 2.収集データを基に味覚障害の経時的変化、味覚障害と栄養状態、嗜好、食物摂取状況等との関係の分析を行う。化学療法時の味覚変化の傾向や味覚変化と食事摂取状況の変化、栄養状態の変化などいろいろな面から分析を行っていく。 化学療法を受けている患者へ化学療法時の食事摂取について提案できるように分析を進めていく予定である。 おおむね当初の計画通りに進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画書作成時の味覚検査キットの予算額が、購入時の値引きにより安くなったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
できるだけ協力していただける患者を集めてサンプル数を増やしたいと考えている。それに伴い、味覚検査キットの購入数も増加するので、その購入に使用することを計画している。
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