研究実績の概要 |
3年計画の2年目である平成29年度は、有機フッ素化合物の濃度の参照値が添付されているヒト標準血清(NIST SRM 1957)を用いて分析条件検討を行った。研究対象のフッ素化アルキル化合物はスルホン酸系の2物質(PFHxS, PFOS)とカルボン酸系の6物質(PFOA, PFNA, PFDA, PFUnDA, PFDoDA, PFTrDA)の合計8物質とした。これらは日本人の血清中から高頻度で検出されることが既存の研究から期待され、高速液体クロマトグラフ・タンデム質量分析計(LC-MS/MS)により一斉分析されている。本研究では、学内の研究基盤センターに設置されているトリプル四重極LC-MS/MSを利用して、その研究室の協力を得て分析条件検討を行った。血清前処理としては、安定同位元素標識体(MPFAC-MXA, Wellington Laboratories Inc.)を100 pg添加した上でアセトニトリル添加による除タンパク、ENVI-Carbを用いた分散固相抽出、ナイロンフィルタによるろ過を行った。用いたLC-MS/MSは古い機種であったため、低濃度まで測定できるよう、試料を10倍濃縮した。この方法でNIST SRM 1957を分析し、PFOS, PFHxS, PFOA, PFNA, PFDAについてreference valueおよび既存の研究の値と比較した。 今後血清中有機フッ素化合物濃度の測定値が得られたら直ちに統計解析と論文作成を行えるよう、解析用のSASプログラムの一部を作成した。
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