研究課題/領域番号 |
16K09048
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
横谷 省治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70278951)
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研究分担者 |
前野 哲博 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40299227)
鈴木 英雄 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00400672)
後藤 亮平 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (20780092)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | がん予防 / がん検診 / 受診率 / 小学生 / 中学生 / 出前授業 / 健康教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小中学生にがんの正しい知識や予防の意識を醸成するために、興味を喚起する出前授業を行うこと、そして子どもが親など家族に授業で学んだことを話すことで、成人のがん検診受診率に影響するかについて検証することである。 平成29年度は、前年度の授業前後アンケートを分析し、その結果を踏まえて授業内容を改訂して実施すると共に、がん検診会場で受診者の質問紙調査を行い、出前授業の影響について検討した。 前年度の授業前後アンケートの結果、がんは身近な疾患であること、がんの一部は生活習慣と関連していること、がんは早期に発見するほど治りやすいこと、がんの治療として緩和ケアも大切であることが概ね正しく伝わっていることが分かった。その一方、がんを怖いと思う理由として、「痛いから」、「感染するから」が授業後に有意に増え、これらは意図しない結果であった。 本年度の授業では、意図しない伝わり方をした事項について教え方を改善し、またがんに罹患した当事者の言葉を伝える内容を新たに加えた。 9月から12月にかけて乳がん検診、子宮がん検診、大腸がん検診の受診者を対象に、質問紙調査を行った。質問紙ではがん検診の受診が初回か否か、初回受診者の昨年まで受診しなかった理由、今回受診することにした理由や契機を尋ねた。子どもまたは孫がいるかを尋ね、いる場合は子または孫から出前授業について話を聞いたか尋ねた。その結果、乳がん検診で53人(回答率79%)、子宮がん検診で177人(98%)、大腸がん検診で159人(94%)が回答した。このうち前年度の出前授業の対象学年の子または孫がいたのは24人(6.7%)であった。出前授業の対象学年の子または孫がいた対象者のうち、子や孫から出前授業の話を聞いたのは9人(38%)だった。この9人のうち、検診受診の理由が、「小・中学生、高校生の子や孫にすすめられたから」と回答したのは0人だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の前半で前年度の出前授業の評価および授業内容の改訂、がん検診受診者に対する調査の質問紙の開発ができ、後半で出前授業の実践、教育効果の評価のための質問紙調査、がん検診受診者に対する質問紙調査が行えた。質問紙調査の解析作業は次年度にまたがって続けることとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、小中学校での出前授業の教育効果をより明確にするために、前年度の授業から1年後経った受講者全員に対して、授業に関する知識がどの程度正しく残っているかを調査し、前年度の授業前後アンケートの結果と比較検討する。また、受講した小中学生の親に対して、がんに関する授業について子から話を聞いたか、聞いた話の内容、親が受けた影響について明らかにするための質問紙調査を行う。
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