研究課題/領域番号 |
16K09050
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
鈴木 都 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (70734242)
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研究分担者 |
大鳥 精司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (40361430)
森 千里 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90174375)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症由来疼痛 / サルコペニア / 卵巣摘出骨粗鬆症マウス / 運動療法 / 抗NGF療法 |
研究実績の概要 |
H28年度までに卵巣摘出骨粗鬆症モデルマウスは有意な骨密度低下、疼痛閾値の低下に加え、筋量、運動量も有意に低下しており、骨粗鬆症マウスは疼痛閾値の低下とサルコペニア(筋減少症)も伴っていることが示唆された。さらに抗NGF抗体を投与すると、有害事象なく疼痛行動の有意な改善を呈した。一方骨密度や筋量、運動量には影響を及ぼさなかった。H29年度は運動療法の骨粗鬆症由来疼痛とサルコペニアに対する予防効果について検討した。卵巣摘出前に3ヶ月間運動負荷を加えた運動群,未運動群を作成し、その後卵巣摘出術とsham手術に分け、術後2ヶ月後に骨密度測定、筋肉量、運動量を施行した。術前のベースラインでは、運動群と非運動群とでは骨密度、疼痛行動、筋量に有意差は認められなかったが、運動量のみで運動群が非運動群に比し有意に勝っていた。骨粗鬆症マウスの骨密度は、運動群で非運動群に比し有意な改善を認め、かつsham群に比し有意差を認めなかった。しかし疼痛行動、筋量、運動量に関して、骨粗鬆症マウスが非運動群に比し運動群で有意な改善を認めた項目はなかった。H30年度はH28年度に施行できなかった抗NGF投与における免疫組織化学染色を施行した。H28年度と同モデルを使用し、抗NGF投与は、OVXマウスにおいて観察された炎症性疼痛ペプチドであるCGRP陽性後根神経節ニューロンの増加を軽減した。 結論 1. 骨粗鬆症関連疼痛のOVXマウスモデルで抗NGF効果を示した。これらのデータは、長期の骨粗鬆症性疼痛の推進力としてのNGFを示唆しており、抗NGF治療がこの集団にとって有用な治療法であるかもしれないことを示唆している。 2. 骨粗鬆症に対する運動療法は、有意に骨密度を改善する効果はあるが、疼痛過敏性、筋量、運動量の改善には至らないことが示唆された。 今後は薬物療法との併用などを考慮する必要があると思われる。
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