研究課題/領域番号 |
16K09051
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
渡邊 裕美 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50325479)
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研究分担者 |
山本 格 新潟大学, 地域創生推進機構, 特任教授 (30092737)
中村 和利 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70207869)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 尿プロテオミクス / アルツハイマー病 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
認知症患者、中でもアルツハイマー病(AD)患者の増加は著しく、ハイリスク群への予防的介入のための簡便なバイオマーカー開発がのぞまれる。尿は非侵襲的に採取できる生体試料であり、プロテオミクス解析にも適した素材である。本研究の目的は尿を用いた ADの早期診断、予測バイオマーカーの探索を行うことである。 AD患者尿、対照尿各18検体のプロテオミクス解析を行った。患者尿はINCDS/ADRDA(the National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke and the Alzheimer's Disease and Related Disorders Association)診断基準に適合するAD患者18人からインフォームドコンセントを取得し、随時尿を採取した。対照尿は、村上コホート研究参加者の中からMMSE (Mini-Mental State Examination)28点以上で、性、年齢をマッチさせた18人の随時尿を用いた。(各群女性10名、男性8名、平均年齢73歳)。各尿検体より抽出した蛋白質500ngを用い、非標識LC-MS/MS解析を行った。各群ともに1500以上の蛋白質が同定された。GO(gene ontology)解析の結果は、尿中蛋白質プロファイルが加齢性変化や、ADの発症機序との関連が示唆されている補体凝固系、リソソーム系の変化を反映している可能性を示唆し、尿がADのバイオマーカー探索の試料として有用であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
質量分析結果の半定量的解析を行い、有意に増加、あるいは減少したと推定される蛋白質を得た。Surface Plasmon Resonance(SPR)法は他疾患における尿中バイオマーカー探索においての実績があり、また多種類の抗原について多検体同時に測定できる優位性があったためSPR法によりvalidationを試みたが、本研究においては質量分析の半定量結果と相関性が得られなかった。原因として、(1)質量分析結果と尿中蛋白質濃度をより確実に関連付ける方法論が不十分であった。(2)SPR法による検出が本研究で必要とされる感度を満たさなかったことが考えられた。このため、推計に用いた半定量法の見直しを行い、また、validation法についても再検討を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
複数の半定量方法による解析を行う。尿の濃縮についても考慮し、半定量結果にクレアチニン値を組入れた結果も検討する。数種類の蛋白質についてELISAを行い、最も相関性のよい半定量方法を決定する。その方法から推定された候補蛋白質についてELISAによるvalidationを行うこととする。質量分析結果のある尿検体量が限られるため、ELISAの条件検討には村上コホートの尿検体を用いることを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
質量分析結果の解析の見直しを行った後に改めて必要な抗体などの選定と購入を行うことととしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
抗体などの購入に用いる。
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