研究課題/領域番号 |
16K09052
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
内田 満夫 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00377251)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 季節性インフルエンザ / 小学校 / 中学校 / 記述疫学 / 数理モデル |
研究実績の概要 |
平成29年度は,調査に協力いただいた安曇野市において得られた情報をデータを入力して解析を行うことを目的とした。第1次調査は発症1649人中の1579人(95.8%),第2次調査は送風7867人中6543人(83.2%)から回答を得た。まず質問紙として得られたデータを研究者自ら全てコンピュータに入力し,データベース化した。記述式回答は項目別に区分するなどしてカテゴリーに沿って入力を行った。欠損値や誤記とみられる回答も取り扱いを一貫させ,入力時のバイアスを排除した。続いてデータ解析に取り組み,記述疫学的,数理モデルにより評価を行った。はじめに記述疫学的評価を実施し,小中学生の流行曲線を描き,両者の流行時期に相違がないことを示した。小中学生の発症状況の差を調べると,のどの痛みや頭痛など,痛みを伴う症状は中学生の方が割合が高かった。発熱時の体温は小学生が高く,また発熱期間も小学生の方が長かった。処方内容は中学生でイナビルの割合が高かった。疑われる感染元は,中学生で家族の割合が低かった。次に数理モデル解析を実施した。学校単位の再生産数Rを求めたところ,小学生では1.13,中学生では1.10だった。次世代行列を作成して全体の再生産数を求めたところ1.12であり,小中学生に著しい相違は認めなかった。以上より,小中学生において,感受性や処方内容などの個人と社会環境因子による相違を認めたが,集団として流行を評価した結果,小中学生において相違は認められなかった。これらの結果は,記述疫学的解析を中心に報告書を作成し,調査に協力いただいた安曇野市の各学校,教育委員会,医師会,保健所に配布した。 以上,平成29年度は季節性インフルエンザ調査から得られたデータの評価を計画通りに実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は,データの入力と解析を主目的としていた。予定通りデータの入力は完了し,解析も予定通り進んでいる。したがって研究は予定通りに進行していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,研究計画の通り,本研究で得られた成果を学術分野において発表し,専門家と議論し,さらに学術論文として発表することを予定している。すでに平成29年度後半から学会における成果発表を始めており,論文執筆にも着手している。したがって,計画通りに研究を進めることが可能であると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ入力を研究者自身で実施し,データ入力費用が掛からなかったため,次年度使用額が生じた。しかし,論文作成と掲載および海外における成果発表に予定よりも経費が掛かる可能性が高く,次年度使用額が高まる可能性が高い。したがって,研究費予算の総額は予定通り必要であると判断できる。
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