研究課題
酸化ストレスは、活性酸素種の発生と拮抗する抗酸化力のバランスが破綻し、酸化に傾いた状態を示す。老化や生活習慣病だけでなく筋や骨など運動器にも影響する。住民健診(2017年Yakumo Study)において骨粗鬆症、サルコペニア、ロコモティブシンドロームと酸化ストレス・抗酸化力の関連を調査した。検診者538名のうち運動器検診を受診できた248名 (平均年齢64.1歳、女性141名) が対象となった。正常はN群とし、運動器疾患の割合は骨粗鬆症(O)群は64名(25.8%)、サルコペニア(S)群は57名(23.2%)、ロコモティブシンドローム(L)群は121名(48.8%)であった。酸化ストレス度はd-ROMsテスト、抗酸化力はBAPテストにより評価した(正常値d-ROMs 200-300 unit CARR、BAP 2200μmol/L以上)。d-ROMs値はS,L群で、BAP値はL群で有意にN群より高値であった。d-ROMs/BAP比はS群のみ有意にN群より高値で、O, L群はN群と差がなかった。d-ROMs/BAP比を説明変数に、性年齢BMIで調整した3群の線形回帰分析はS群のみ有意に影響があった(β=0.014, p<0.01)。この結果から、さらにサルコペニアについて酸化ストレスと栄養摂取の関係も調査した。栄養摂取は食物摂取頻度調査票FFQを用いエネルギー、脂質、タンパク質、炭水化物、ビタミンなどの摂取量を推定した。性年齢BMI、低栄養の指標(Hb, Alb) を共変量としたロジスティック回帰分析は、d-ROMs第3分位(高)でOR 3.0となった。d-ROMs第3分位値345u. C以上だと、FFQのうちタンパク質とコレステロール摂取が有意に少なかった。酸化ストレス評価は、運動器疾患のサロゲートマーカーとして研究治療に活用できる可能性があることがわかった。
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