研究課題/領域番号 |
16K09057
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
曽我部 正弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 特任講師 (60732790)
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研究分担者 |
中川 忠彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 特任助教 (40634275)
岡久 稔也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 特任教授 (60304515)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | メタボリック症候群 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 質的内臓脂肪 / メタボローム解析 |
研究実績の概要 |
本邦では、肥満を背景に食習慣や生活様式の欧米・近代化に伴う生活習慣病を合併したメタボリック症候群(metabolic syndrome; MS)が増加している。MSは高血圧、脂質異常、耐糖能異常を合併し、心血管系疾患発症のリスクを高めるだけでなく、非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease; NAFLD)発症にも関与することが明らかとなり、健康対策上の大きな課題となっている。そこで本研究では申請者らがこれまでに行ってきた研究成果をもとに質的内臓脂肪とメタボローム解析に着目し、MS該当者を抽出するだけでなく、MS該当者を質的内臓脂肪からMS内臓脂肪優位型(内臓型)とMS皮下脂肪優位型(皮下型)に区別し、NAFLDに対するメタボローム解析の結果を組み合わせることにより健診におけるより高リスクなNAFLDを伴うMS該当者を抽出することを目指している。 H28年度からH29年度にかけて本研究対象者であるMS該当者の中からNAFLD症例を抽出し、質的内臓脂肪の観点から腹部超音波検査法・生体インピーダンス法を用いて内臓型と皮下型に分け、その臨床的背景を比較した。どちらの型も同じMS該当者であるが、内臓型は皮下型に比べ、肝酵素上昇例やNAFLD罹患率などが有意に多いことが明らかとなった。さらに内臓型と皮下型の2群をそれぞれ肝酵素上昇を伴うNAFLD症例と肝酵素上昇を伴わないNAFLD症例に分類し、各群の臨床データを比較したところ前者では内臓脂肪に加え全脂肪やインスリン抵抗性・肝線維化に関するマーカーなどが、後者では脂質に加えインスリン抵抗性・肝線維化・炎症に関するマーカーなどが異なる傾向を示しており、各群の特徴的な因子が明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度においては前年度に明らかとなった同じMS該当者でも内臓型は皮下型に比べ、肝酵素上昇例やNAFLD罹患率などが有意に多いことや臨床的背景において異なる因子が存在することをふまえたうえで、更に一歩研究を進め、内臓型と皮下型の2群をそれぞれ肝酵素上昇を伴うNAFLD症例と肝酵素上昇を伴わないNAFLD症例に分類し、各群の臨床データを比較した。前者では内臓脂肪に加え全脂肪やインスリン抵抗性・肝線維化に関するマーカーなどが、後者では脂質に加えインスリン抵抗性・肝線維化・炎症に関するマーカーなどが異なる傾向を示した。またこの違いの原因を探索する方法として近年注目されている総代謝産物を網羅的に解析できるメタボロミクスを用いて測定中であり、現在までのところ本研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
MS該当者の内臓型・皮下型での肝酵素上昇を伴うNAFLD症例と肝酵素上昇を伴わないNAFLD症例における臨床的背景の違いを様々な方向から探索するとともに、現在行っている総代謝産物を網羅的に解析できるメタボロミクスを用いた測定を終了させ、メタボローム解析から内臓型と皮下型における危険度の高いNAFLDに関連するマッピングパターンや代謝物質の同定を試み、現在までの知見を合わせたうえで健診におけるより高リスクなNAFLD を伴うMS 該当者を抽出することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度においては当初の予定通りに内臓型・皮下型NAFLD症例に対してメタボロミクスを用いた測定ならびにNAFICスコアー算出に必要なフェリチン、インスリン、IV型コラーゲン・7Sの測定を施行した。平成29年度の支払い請求額の大半をしめているメタボロミクスを用いた測定は予定通り実施されたが、支払いは次年度の4月になっていることや若干の測定費用低下に伴い残額が発生した。平成29年度の予算の残額は平成29年度に施行されたメタボロミクスを用いた測定費用の支払いおよび危険度の高いNAFLDに関連する代謝物質の抽出にむけた多角的なメタボローム解析を行うために繰り越すこととした。
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