研究課題/領域番号 |
16K09058
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
原 めぐみ 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90336115)
|
研究分担者 |
田中 恵太郎 佐賀大学, 医学部, 教授 (50217022)
西田 裕一郎 佐賀大学, 医学部, 講師 (50530185)
島ノ江 千里 佐賀大学, 医学部, 特任准教授 (10734064)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 身体活動 |
研究実績の概要 |
前年度までの研究により、SOD遺伝子は身体活動とメチル化は負の関連がみられ、身体活動によってメチル化が低く保たれ抗酸化遺伝子が発現する可能性が示唆された。そこで、SOD遺伝子のメチル化と遺伝子多型と同時に検討することで、身体活動と抗酸化の関連について、より多くの知見が得られると考え、平成30年度は、①SODの遺伝子多型の測定方法の確立と測定、および、②コホートの追跡調査を実施した。 ①については、SODの中でも、全身に発現し、かつ、最もよく研究されているMnSOD Val16Ala多型についてジェノタイピングを行ったところ、CC: n=194 [1.6%]、 CT: n=2613 [21.7%]、TT: 9224 [76.7%]であった。今回測定したCアレルの頻度は12.5%であり、下記のSNPデータベースのウェブサイトのEast AsianのCアレル頻度と一致していた。ミトコンドリアでの活性酸素の運搬能力が高いVal/Val型においては、身体活動と尿中の遺伝子損傷マーカーには統計学的に負の関連が認められるのに対し、Ala/Val型、Ala/Ala型では認められなかった。このことは、体質によって身体活動による遺伝子損傷防御効果が異なる可能性を示唆するものである。 ②については、本コホートのベースライン調査参加の約12000人について実施した郵送による10年後の罹患調査への返答のなかったものに対し、電話による追加調査を実施した。その結果、93.7%の参加者の10年間の罹患状況について、把握することができた。前年度までに700人のがん罹患者のカルテ調査が終了していたものに加え、平成30年度はさらに約700人のがん罹患を把握した。これらのうち、身体活動による予防効果が期待される大腸がん158人と乳がん142人については、カルテ調査まで終了した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までに、抗酸化酵素遺伝子であるSODのメチル化の測定が終了し、SODのメチル化身体活動によって低く保たれる可能性が確認できている。また、SODの遺伝子多型の測定も終了し、大腸がん、乳がんの罹患登録は完了している。残りの部位のがんについても採録中である。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、10年間のがん罹患データベースを構築完了し、大腸がん、乳がんの罹患とSODのメチルや遺伝子多型の関連を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
SODの遺伝子多型の測定の際の予備実験などが少ない回数で測定方法が確立し、また、再測定の検体も少なかった。そのため、試薬も効率よく注文することができ、当初の見積もりよりも少なくて済んだ。
抗酸化酵素遺伝子の多型、メチル化についての測定が終了しているので、次年度はがん罹患データベースを確立し、抗酸化酵素の遺伝子の多型、メチル化と身体活動のがん罹患に対する影響などの検討を行い、論文化や学会での報告を予知しており、それらに充てたい。
|