研究課題/領域番号 |
16K09060
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
井岡 亜希子 琉球大学, 医学部, 委託非常勤講師 (10504871)
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研究分担者 |
青木 一雄 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60201282)
増田 昌人 琉球大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (30295323)
片山 博昭 公益財団法人放射線影響研究所, 情報技術部, 部長 (20360852) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レコード・リンケージ / 保健医療関連情報 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、医療施策のアウトカム(成果)を評価するために、様々な機関で保有されているデータ間の連結(=レコード・リンケージ)を、個人情報の取り扱いを最小限にして行う新技術を開発するものである。オーストラリアでは、既に、施策の評価を正確に捉えることを目的に、各機関が保有する保健医療関連情報のレコード・リンケージのみを行う組織(Centre for Health Record Linkage,CHeReL)が設置されている。 平成28年度は、我が国におけるレコード・リンケージの体制、運用、レコード・リンケージの手順及び手続きを具体化するために、CHeReLのホームページを調査・整理した。CHeReL では、①NSW州における入院患者等の医療機関データ、出生・死亡登録等の政府統計を含む22種類の保健医療関連情報に連結するためのキーを持ち、②2016年7月現在で約11,700万件の情報(1100万人分以上)を管理している。③個人同定は、姓名、生年月日、性、住所などの情報を元に、ChoiceMakerというデータ照合システムで行われおり、毎年その照合の精度を確認する作業が行われている。④CHeReLのデータ利用にあたっては、利用申請書が保健医療関連情報管理者や倫理審査委員会での承認を必要とする。⑤これまで、研究者や施策関係者など1530人がデータを活用している。また、我が国における効率的なレコード・リンケージ方法(日本人特有の姓名漢字に対応したリンケージ方法)を実現するために、「日本版CHeReLシステム」の開発に取り組んだ。平成28年度は、データベース・テーブルの構造や漢字姓名のレコードリンケージについて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、我が国におけるレコード・リンケージの体制、運用、レコード・リンケージの手順及び手続きを具体化するために、CHeReLのホームページを調査・整理した。CHeReL では、①NSW州における入院患者等の医療機関データ、出生・死亡登録等の政府統計を含む22種類の保健医療関連情報に連結するためのキーを持ち、②2016年7月現在で約11,700万件の情報(1100万人分以上)を管理している。③個人同定は、姓名、生年月日、性、住所などの情報を元に、ChoiceMakerというデータ照合システムで行われおり、毎年その照合の精度を確認する作業が行われている。④CHeReLのデータ利用にあたっては、利用申請書が保健医療関連情報管理者や倫理審査委員会での承認を必要とする。⑤これまで、研究者や施策関係者など1530人がデータを活用している。また、我が国における効率的なレコード・リンケージ方法(日本人特有の姓名漢字に対応したリンケージ方法)を実現するために、「日本版CHeReLシステム」の開発に取り組んだ。平成28年度は、データベース・テーブルの構造や漢字姓名のレコードリンケージについて検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
CHeReLのChoiceMakerは、同定指標に重みづけを行い、一致パターンを0(不一致)から1(一致)までの数値に置き換え、上位境界値(p=0.75)以上、下位境界値(p=0.25)以下を自動的に一致、不一致と決定し、その中間を目視で確認するというものである。目視確認の量を極力減らすためにこの境界値は重要な要素である。そこで、ChoiceMakerや最適な境界値の決定方法をはじめ、保健医療関連情報に連結するためのキーの更新・追加のタイミング、データ利用申請者がデータ利用できるための支援体制等について、CHeReLを訪問し情報収集・意見交換する。そして、日本版CHeReLとそのシステムの内容を具体化していく。 我が国における効率的なレコード・リンケージ方法を実現するために、「日本版CHeReLシステム」の開発に引き続き取り組む。平成29年度は、これまで検討を行ってきた漢字姓名での最適なレコードリンケージの方法を具現化し、実サーバ上で試験運用を目指す。また、漢字姓名、生年月日、性、住所などの同定指標とした場合の重みづけをどのように行うか、実際に医療機関が保有するデータ(院内がん登録データなど)を用いて、プロトタイプの動作確認を行い、最適な境界値はどれくらいかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
オーストラリアでは、既に、施策の評価を正確に捉えることを目的に、各機関が保有する保健医療関連情報のレコード・リンケージのみを行う組織(Centre for Health Record Linkage,CHeReL)が設置されている。そこで本研究では、CHeReLの仕組みを参考に、様々な機関で保有されているデータ間の連結(=レコード・リンケージ)を、個人情報の取り扱いを最小限にして行う新技術を開発する予定である。日本版CHeReLとそのシステムの内容を具体化していくため、平成28年度にCHeReLを訪問し情報収集・意見交換する予定であったが、日程調整が困難で、CHeReLの訪問ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
日本版CHeReLとそのシステムの内容を具体化していくため、平成29年5月にオーストラリアのCHeReLを訪問する。データ照合システムであるChoiceMakerや最適な境界値の決定方法をはじめ、保健医療関連情報に連結するためのキーの更新・追加のタイミング、データ利用申請者がデータ利用できるための支援体制等について、情報収集・意見交換する予定である。
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