研究課題/領域番号 |
16K09061
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
鷲見 紋子 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10363699)
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研究分担者 |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 結核 / 時系列解析 / 気象 / 感染症サーベイランス |
研究実績の概要 |
1.研究対象データの収集、保存:(ⅰ)中国の湖北省12直轄市の結核データおよび気象データを、武漢疾病予防センター(武漢市)の研究協力者から提供を受けた。 湖北省12直轄市の患者属性(性別、年齢、診療科等)に関するデータをExcelファイルに入力した。日本の結核サーベイランスデータおよび気象データは、それぞれ国立感染症研究所と気象庁のホームページから入手した。 2.結核サーベイランスデータの時系列解析:日本の47都道府県、そして中国・湖北省の12直轄市で収集された結核のサーベイランスデータの時系列解析を行った。時系列解析には、申請者が学研究費補助金(平成10年~12年度、特別研究員奨励費)を受けて基本的枠組みを構築した方法を用いた。日本のデータについて得られた結果を査読付学術誌に論文(英文)として発表した。 3.結核の流行変動と気象変動の相関関係の測定:時系列解析の結果を土台にして、日本および湖北省の結核と気象変動の実測データの相関関係を調べている。その方法として、報告者が平成25年~27年度科学研究費基金助成金(基盤研究(C))を受けて構築した、日本の47都道府県の水痘の流行パターンが気温と相関があることを示した手法(Harigane K, Sumi A, et al., 2015)を用いている。結核と併せて、手足口病についても調べ、得られた結果を論文(英文)としてまとめ、査読付学術誌に投稿中である。 4.結核の空間的流行伝播の測定:結核の流行伝播の地理的変動を視覚化するために、空間疫学分野で広く普及している統計ソフトウェアArcGIS(ESRIジャパン)を用いて、日本の47都道府県および湖北省12直轄市のデータを地理的相関分析に適用する準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度(2016年度)基盤研究(C)研究計画調書の中で立てた「平成28年度における研究計画」に照らしあわせて、現在の進捗状況について評価を行うと、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究を引き続き行い、得られた研究を参考にして以下の研究も推進する。 1.中国・黒竜江省13直轄市のデータ解析:平成28年度に行う日本・47都道府県と中国・湖北省12直轄市について行った一連の解析を、中国・黒竜江省13直轄市のデータについて行う。得られたハルビンの結果を論文にまとめる。論文では、中国と日本について、各国における結核流行変動の地域差について考察する。 2.インドにおける予備的調査:インドは世界で最も結核患者が多く、中国と日本についての本研究計画をインドに適用することは大変意義深い。そこで本研究の実施期間内にインド・コルカタについての予備的な研究を実施することを目標とする。 3.フィリピンにおける予備的調査:フィリピンは、世界有数の結核蔓延国であり、2013年の罹患率は282人(人口10万人対)である。フィリピン、そして今回の研究対象である中国と日本を含むアジアにおける結核流行の全貌を明らかにするためには、将来的に、アジア全体をコンピュータ・オンラインで結んだ結核サーベイランス事業が行われることが必須である。その足掛かりとして、本研究計画を土台として、フィリピン・マニラ市での予備的調査を実施する段階まで到達することを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
外国旅費の使用が予定よりも少なかったために差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に生じた差額は、平成29年度に予定している外国におけるでデータ収集のための外国旅費に用いる。
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