研究課題
本研究は、当院の脳梗塞患者に用いた直接阻害型経口抗凝固薬(DOAC)の出血性副作用の有無を明らかにすること、欧米の先行研究でダビガトランとの関連が明らかとなった代謝酵素:CES1およびP糖蛋白:ABCB1の一塩基多型(SNP)の遺伝子型との関連を明らかにすることを目的に行った。当院脳卒中センターに入院しDOACを開始した患者の臨床データベースを構築した。SNP:CES1(rs2244613)、ABCB1(rs4148738他3箇所)の遺伝子型を直接塩基配列解析で検出するプライマー、PCR条件を確立し、遺伝子型の解析を行った。これまで解析した22名(年齢76±9歳、男性12名、女性10名)の入院時疾患は、心原性脳塞栓症:14名、脳血栓症:2名、奇異性脳塞栓症:2名、ラクナ梗塞:2名、その他脳血管障害2名であった。何れも心房細動もしくは深部静脈血栓症を伴う。16例ではヘパリン治療終了後、DOACに切り替えた。切り替え時に伴う出血症例は無し。開始したDOACはダビガトラン300mg:5名(65±6歳)、リバーロキサバン10mg:5名(84±2歳)、同15mg:5名(76±5歳)、エドキサバン30mg:6名(80±5歳)、同60mg:1名(62歳)。CES1:rs2244613の遺伝子型はCC:5、CA13、AA4名で、対立遺伝子頻度は、C:0.52、A:0.48。ABCB1:rs4148738の遺伝子型はGG:1、GA:11、AA:10名で、対立遺伝子頻度はG:0.3、A:0.7とAの頻度が高かった。DOAC開始後の出血例はないが、薬剤変更が2例あった(ABCB1 rs4148738:GAの86歳、AAの69歳)。内服経過後にPT-INR高値を示す症例があり、今後も経過を追って、出血性副作用と遺伝子型との関連を検討していく。
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PLOS ONE
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